アメリカの不動産市場はついに暴落局面に入っていて、悪いニュースばかりが流れています。
昨日、アメリカの金融機関は商業不動産で更に1600億ドルの損失を出しており、損失の拡大に歯止めがかかる見通しはありません。
この記事では南カリフォルニア大、スタンフォード大、コロンビア大、ノースウエスタン大の共同研究を紹介しています。
結果としては31-67の地銀が破綻するため、預金保険対象外の預金の半分が失われること。
そして金利高騰に起因する損失のため、340の金融機関が破綻すると試算しています。
当然ですが金融危機が本格化すると、住宅ローンの貸し渋りにより借り換えはできず、さらに多くの不動産が差し押さえられることになります。
かなり壊滅的な状態であることが見て取れると思いますが、待ち続けてきた投資家にとってはチャンスが来たことを知らせるものでもあります。
この機会に投資を検討する人も出で来ると思いますが、アメリカの不動産を検討する時には、掲載される情報を注意深く見る必要があります。
多くの人が物件のきれいな写真に引かれがちになりますが、写真は必ずしも現在のものであるとは限らないというということを知っておくべきです。
特に投資価格帯の物件はその傾向が強いです。
差し押さえのプロセスのどこかの時点で撮った写真をネットに掲載している場合が多く、その後に家の状態が変化しているケースが多いものです。
家から出で行く時に大量のゴミを残したり、場合によっては家を壊していくケースが多々あります。
家を取られた腹いせに家を壊すというのは、アメリカでは良くある出来事なので、写真はあまり当てにはならないと思っておいた方が無難です。
とは言え、たまには写真通りの状態の物件というのもあります。
手ごろな価格で状態の良い物件を見つけられば最高なわけですが、最後まで気を抜くわけにはいきません。
決済で代金を支払う直前に、物件の状態を再度確認することをお勧めしたいと思います。
決済の直前に家が壊される経験をしたことがあり、決済が終わり鍵を付け替えるまでは安心できません。
別のケースは写真が掲載されていない場合、あるいは掲載されていたとしても1-2枚だけで内部の写真がない場合です。
これは今朝私のところに来た差し押さえ物件ですが、家の正面の写真が一枚しかありません。
写真が少ない場合や、まったくない場合は以下の状況が想定できます。
まずはエージェントが家の内部の状態が悪いことを知っているため、わざわざ掲載しない場合があります。
あるいは、車から降りて家の中に入って写真を撮るのが面倒だというケースもあります。
不動産市場が悪化して差し押さえが増え続けていくと、後者のケースが圧倒的に増えていきます。
そしてこの場合は家の内部の状態を知らないので、値付けが甘く幾らでもいいから処分したいという考えも見え隠れします。
情報がないということは、競合が少ないことにもなるのと売り手もあまり関心がないので、安く買うチャンスでもあります。
さらに別の理由としては、人が住んでいて内部に立ち入れないという可能性もあります。
その場合、下のような説明に入居者がいる旨が記載されている場合がほとんどで、この場合は要注意です。
この手の物件を購入する場合はすぐに強制退去を始めるか、あるいは入居者として家賃を払い始められるかの交渉を始めることになります。
私は以前にこの手の物件を購入して住んでいる人と賃貸契約を結んだことがありますが、成功率は低いのが現実です。
結局はすぐに強制退去をする羽目になり、余分のコストがかかる結果となりました。
しかし入居者がいることにはメリットもあり、物件の状態がそこまで悪くないことを意味しています。
少なくとも電気や水道には問題がなく、上手な対応ができれば修理代金を節約できる可能性があります。
これは入居している人の人柄にも大きく左右されるので、購入を検討する場合には家を直接訪問してリスクを見極める作業が必要になります。
普通に話ができる人なのかどうかということや、賃貸契約を結ぶ用意があるかは直接話してみないと分からないものです。
不動産エージェントであれば、入居者がいる=投資家にとってはハイリスクである、ということを普通は知っています。
そのため購入後に余分のコストがかかると説明することで、大幅な指値を入れるということも可能かもしれません。
ここまでは差し押さえとして一般に出回る物件の話ですが、出回らない物件の場合はもっと情報が限られています。
良くあるのが売り物件の一覧が回ってくるケースで、あるのは住所のみの場合です。
これは何をやっているのか分かっている投資家にとっては、非常に美味しい話となり得ます。
経済危機のアメリカの不動産市場は資産を構築する良いチャンスになりますが、同時にリテラシーが低いとハイリスクになりかねません。