ヘッジファンドがアメリカの不動産価格を一層押し上げたことが、少し前まで報道されていました。
フロリダやアリゾナで市場価格を大幅に上回る価格で、不動産を大量に購入し、同時に家賃を吊り上げるといったことが平気で行われていました。
特定のエリアで資金力にモノを言わせて、高値でまとめ買いをしていたため、一般の人は手が出せないという状況があちこちに見られていました。
しかし、どうやら状況は一変してしまったようです。
今は巨額の損失を出しているようで、近々高値でまとめ買いした不動産を叩き売りが始まる、という観測が出始めています。
その理由は金利が急上昇し資金調達が難しくなっていること、そして利益率が激減していることです。
これはキャプレートと住宅金利を示した表です。
現時点で平均的な不動産を買う場合のキャップレートは4.4%ですが、住宅金利は6%です。
つまりお金を借りて不動産投資をしたとしても、利回りは金利以下ということで、確実に損をするという状況になっています。
例えば、これはプログレスという巨大ヘッジファンドが少し前に購入した物件です。
売値の2倍以上の価格で物件を購入したようですが、想定の家賃では入居者が見つからず、家賃の値下げを続けています。
そして家賃の回収率も下がっているようです。
プログレスはMBSを発行しているわけですが、その報告によるとこれまでの家賃の回収率は98.8%でしたが未回収率が増えています。
つまり家賃を回収できないだけでなく、強制退去のコストもかかるということになります。
今、全米で強制退去数が急増しており、家賃が下落が見込まれています。
同様のケースは多いようで、すでに売却を始めているところも多いようです。
特にヘッジファンドが大量に購入した都市では、一気に売り物件数が増えて価格を暴落させる可能性が指摘されています。
都市によっては物件の買い手のうち30%-50%が投資家だったエリアも多くあります。
金利が上がり不動産価格が下がるのに対し、家賃は下落し滞納率も上昇しています。
彼らが考えることはただ一つ、価格が暴落する前に売り抜けることです。
問題は投資家が大量に購入した都市の不動産価格が暴落するということです。
その中にはフェニックス、アトランタ、シャーロット、ジャクソンビルといった都市が含まれ、投資家の不動産保有率が30%を超えています。
ここまではバブル時に最高値で不動産を大人買いしたヘッジファンドの苦境についての話と、今後見込みについてですが、
ヘッジファンドが不動産を大量に処分する理由はそれだけではありません。
すでに不動産投資よりも社債に投資した方が、高利回りを達成できます。
ということでアメリアの不動産市場はいよいよ大暴落モードに突入といったところだと思います。