最近はもうあまり話題にもならなくなった恒大集団ですが、物事は進んでいます。
中国共産党はもうなりふり構わなくなっています。
というのは国内の債券保有者には支払い、海外の投資家には支払わない方針を事実上決めたことが報道されています。
この報道によると、債権が3000億ドルと言われていますが(恐らくもっとあると思いますが)、そのうち国内分90億ドル分の支払いに関して、債権者と合意に至ったことが報道されています。
これにより国内の連鎖倒産を回避できるとのことです。
海外の金融機関の連鎖倒産は起こっても構わないという方針のようです。
China Evergrande Averts First Onshore Public Default
これと同時にさらなる報道がありました。それはこの記事です。
恒大集団はテスラと共同で、電気自動車を製造し、不動産事業から脱却を目指すという内容です。
つまり、海外の投資家には払わず、その金を使って新たに電気自動車のビジネスを行おうというのでしょう。
中国共産党の体質がもろに出た対応だと思います。
海外のドル建て債券を持っている金融機関は支払いを受けられないことはほぼ確実ですが、今後の焦点は格付け会社の対応に集まりそうです。
次のドル建て債券の支払日は1/28だと思いますが、その時に格付け会社が経済システムの破壊覚悟で、恒大集団を倒産会社扱いできるのかということになると思います。
そして以前も取り上げた下の記事によると、ゴールドマンサックスによる分析では1580億ドル分のCDS(クレジットデフォルトスワップ)が恒大集団にはかけられているとされています。
つまり、倒産すれば倒産保険を引き受けた金融機関は支払いを迫られます。
1580億ドルもの金額を払える金融機関は存在しないでしょう。
そしてその金融機関が破綻すれば、今度はこの金融機関にかけられているCDSの支払い義務を負う金融機関が破綻します。
そして世界中で次々と連鎖倒産が一気に起こります。
格付け会社はそれリスク覚悟で、倒産扱いをできるのでしょうか?
ただCDSはないとする記事も出でいますが、ないとはとても考えられません。
DMSA study: EVERGRANDE - 10 Billion US-Dollar in losses for Asia-Funds
ちなみにこれは債権を保有している金融機関です。ドイツ銀行の名前が見当たらないのは変ですね。
恒大集団が倒産すれば、これらの金融機関すべては連鎖倒産ということになるでしょう。
ちなみに日本の年金も相当つぎ込まれています。
もちろん日本だけではないと思いますが、年金はもうないと思った方がよさそうです。
それにしても日本の報道機関はこういうことを全く報道しないですね。
少し別の話ですが最近になって、2019年9月に起こった短期金利急上昇は、CDSによる損失が原因だったことが公開されました。
イギリスの旅行会社トーマスクックの倒産の際、巨額のCDSをかけていた金融機関の信用不安が原因で、あわや大惨事というタイミングで、FRBが巨額の資金注入をして、事なきを得たという事実が公表されました。
野村証券もこれにはかかわっていました。
この時は特定のヘッジファンドが巨額のCDSを購入する一方で、株式市場でトーマスクックの株式の大規模な空売りを行い、株価が85%も下落しました。
要するに倒産させて大金を儲けようとしたわけです。
今回の件ではどうでしょうか?
同じことを企んでいるヘッジファンドがいたとしてもおかしくないと思います。
それにしても、こういう方針を打ち出すということは、言い換えれば中国共産党は海外との取引を捨てたと言っても過言ではないと思います。
日本でも中国製の安い製品は、店頭から姿を消す日は近そうですね。