今アメリカで行われているのは事実上のベーシックインカム(MMT)です。
失業保険の他に、給付金があり、家賃や住宅ローンを払わなくてもしばらくはやりおおせるので、仕事もせずに自由な生活を楽しんでいると感じている人も多いでしょう。
日本でも、何を考えてか知りませんが、MMTを期待する声が時折聞かれます。
しかし常識的に考えればわかると思いますが、MMTは考えうる限りの最悪の結果を招きます。
最近アメリカで話題になっているのは、仕事をしたい人が少なく必要な人材を見つけられないという問題が多くなっていることです。
あるマクドナルドでは、面接に来てくれれば$50支払うというキャンペーンを始めました。
しかし報道によると、誰も面接に来なかったとのこと。
仕事をしなくてもお金をもらえるわけですから、労働意欲をなくすのも当然です。
これがMMTの最大の弊害です。
One Florida McDonald’s offers $50 to anyone who interviews for a job
当然ですが、この状況で人を雇用するためには時給を上げざるを得ず、それはモノの価格に転嫁されます。
そしてそれは材料を生産する会社も同じ状況なので、材料費も高騰し、その過程で多くの会社がつぶれていきます。
当然、市場に提供されるものの数が自然と減っていき、モノ不足になります。
その反面、流通するお金だけは増えていくので、価格だけは上昇していきます。
働いてモノやサービスを生産したくないけど、消費だけはしたいからです。
結果、インフレに拍車がかかるということ。
インフレというのは、短期間に急速に進むものなので、気づいた時には、もらうお金では大したものは買えなくなっていることに気づくのです。
これはそもそもの話で、MMTなどと何かもったいぶって横文字の名前を付けたとしても、人間の性質が変わるわけではありません。
働かなければ食べるものがなくなる、それだけの話です。
例えば10人しか住人がいない村があったとして、それぞれが野菜、肉、魚などを生産していたとしましょう。
こういう世界では、人々が働き、何かを生産しないと生きていかれないことは容易に理解できる話です。
誰かが魚を取り、別の人が野菜を作り、またまた別の人が肉を生産する。そしてそのモノの交換の手段として通貨が存在します。
この村で誰も働かなくなれば、すぐに人々は飢え死にします。
村と世界とでは、規模が違うとはいえモノとサービスが世界から消えてしまえば、銀行にデジタルの数字がいくつ並んでいたとしても、まったく意味がありません。
それは今のベネズエラを見てもわかると思います。
アメリカは日本とは違い、通貨が基軸通貨であることに加え、MMTすることを禁止する法律もありません。
ですから、際限なくお金を刷り続け、ばらまくことが事実上可能です。
バイデン政権でMMTは既定路線ですが、今は良くても最終的に一般のアメリカ人は奈落の底に突き落とされることになります。
それを理解している人たちは、すでに準備を始めています。
Biden's Stimulus Checks "Wreck Labor Pool" As People Get Paid To Stay Home
日本では、導入されないことを願います。これはまともな理論ではありません。
日本人は新しい物好きですし、横文字にされたりアメリカで導入されるといいもののように誤解しがちですが、
もし今後、デジタル通貨とセットで導入されそうになったら、その結果を考えていただきたいと思います。