アメリカ不動産情報

アメリカの賃借人の半数は家賃を払えない状況のようです。

アメリカの地銀だけでなく海外の銀行もアメリカの商業不動産で大損している状況であることは良く報じられています。

 

昨日別の報道がありました。アメリカの賃貸人の半分以上が家賃を支払えない状況であることが報じられています。

ハーバード大学の研究によると収入の30%以上を家賃の出費に充てている人が半数を超えており、経済的な重荷となっているとしています。

仮に入居者の半分が滞納するとすれば、大家は一気に破綻してしまいます。

経済が悪化する中でのアメリカ不動産投資では、入居者の家賃滞納というリスクが常にあります。

ここ数年以内に購入した大家は金利上昇と不動産価格の下落に加えて、家賃滞納に苦しむことになります。

日本のような家賃保証はありませんので、入居者が滞納し始めると損をするのは大家ということになります。

 

大家にとってはローンの支払いだけでなく、家賃を支払わない入居者の対応に費用がかさみ結果として物件を手放す人が続出します。

問題が悪化すると感情的に不動産投資が嫌いになってしまい、売値は幾らでもいいから手放したいと思うようになる人も出できます。

もう一瞬でもそのことを考えたくないと思うものなのです。

この状態になると資産を格安で入手する大チャンスになるわけですが、問題も一緒に引き受けることを意味します。

底値で購入し長期でホールドすれば、インカムゲインだけでなく大幅なキャピタルゲインも狙えますが、リスクがないわけではありません。

メンタル的にある程度強くないといけないのと同時に、問題の対処法を知っておく必要があります。

 

正攻法は弁護士を雇って入居者を強制退去することですが、私は正直言ってこの方法があまり好きではありません。

まずは弁護士費用がかかるのと、裁判で判決が出るまでは入居者が住み続けられるからです。

そして裁判で大抵の人は時間を稼ぐために「物件は人が住むのに危険な状態なのに大家が修繕を拒んでいる」といった主張をしてきます。

入居者は一定の水準の住居に住む権利がありますので、裁判所は大家にまずは最初に修繕をすることを命じる場合がほとんどで、数か月以上が無駄になります。もちろんその間の家賃は貰えません。

時間がかかっても裁判で勝てば、退去させることができるわけですが、時折それでも居座る人がいます。

その場合は執行官を雇って強制的に入居者と持ち物を排除することになります。日本人からすると卒倒するような話ですね。

そしてその後に次の入居者を入れるための修繕費用は大家が支払うことになります。

不景気になると、アメリカでは下のような光景が時折見られます。

これは執行官が強制的に入居者を排除する時に、ストリートに持ち物を放置しますので、執行官が来たことが分かります。

私は経験がありませんが、強制退去の腹いせに物件を破壊したという話を聞くこともあります。

Nightmare tenant: Abilene landlord left with thousands of dollars in damages after issuing eviction

Landlord Story # 23 – How a professional tenant destroyed my rental house.

 

強制退去と執行は弁護士費用と執行費用がかかるだけでなく、物件の修理代もかかります。

そして長期間家賃を貰えないだけでなく強制排除に伴うリスクもありますので、大家が取る最後の手段だと考えておくべきです。

 

入居者が家賃を支払わない場合、別の選択肢もあります。

それは支払えない理由を聞いて、支払い可能額まで家賃を落としてあげることです。

それでも支払えない場合は、引っ越し費用を負担する代わりに退去をお願いすることも可能です。

なぜ家賃を滞納する入居者の引っ越し費用を、大家が支払わなければならないのかといぶかるのも当然ですが、裁判や強制執行よりも格安で上がり、しかも早期で問題が解決します。

入居者にとっても拒否すれば強制退去になると分かっているので、応じる場合がほとんどです。

引っ越しが住んでゴミ片付けまで終わってから、払う方が賢明です。こちらの方が早期にしかも穏便に解決できるので良いと思います。

 

時折売り物件に入居者がいるという記載があることがあります。

入居者がいるのに物件を格安で売りに出している場合、その背後の理由を察するべきです。

絶対に買うべきでないと言いたいわけではありませんが、リスクがそれなりにあるということをあらかじめ知っておくべきです。

入居者がいる=すぐに家賃を貰えるということにはなりません。

もしかしたらとんでもない入居者がいるのかもしれず、裁判をしたのに退去させられなかったというケースすら考えられます。

 

アメリカの不動産投資は常に入居者のリスクがあるので、大家としてはある程度の予防策を講じておくべきです。

変な入居者を入れるくらいならば、空室の方がましです。

入居者リスクをヘッジする方法は複数ありますが、そのうちの一つの方法は賃貸契約を一か月として毎月自動更新にすることです。

この方法のメリットは入居者が未払いをする場合、管理会社は即座に契約終了を通知できます。

家賃の滞納を起こす時には契約終了を理由に退去させることになります。

これは家賃滞納の強制退去とはかなり異なります。

家賃未納の強制退去だと、入居者は家賃を払わない理由を大家の側の不手際だとすることが可能ですが、契約解除の場合は何もできません。

 

もう一つの方法は管理会社の入居者のスクリーニングを厳格にすることです。

普通は犯罪歴や過去の強制退去歴を調べますが、クレジットスコアを一定以上の水準にしておくことはかなり役に立ちます。

家賃を近隣の賃貸物件よりも低額に設定しつつも、スクリーニングを厳格化することは賃貸経営の安定化につながります。

 

アメリカの不動産投資は非常に儲かるツールではありますが、特有のリスクもあります。

良く知らずに簡単に儲かると考えて手を出すと痛い目に会うことになります。

なかなか難しいことを書きましたが、それでも底値で買えれば非常な利益が出るのがアメリカの不動産です。

リスクを抑えつつ、長期間ホールドできる体制をどこまで構築できるかが成功のカギになります。

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