パンデミック発生以降、アメリカでは住宅ローンの支払いをやめても差し押さえを行わないとする法律が施行されていました。
もちろん払わなくても差し押さえられないわけですから、支払いをやめる人が一定数いたわけです。
と言っても住宅ローンの支払いが免除されるわけではなく先送りされるだけの話で、法律の期限が切れる時に滞納した分を一括で支払わなければなりません。
そしてこの法律は11/30に期限切れを迎えるため、来月以降大量の差し押さえが発生することが問題となっています。
既に売り物件数は急増している最中ですが、高金利のために買い手はほとんどいません。
差し押さえを回避するためには、ローンの借り換えをする必要があるわけですが今は数年前よりも借り入れが厳しくなっています。
結局のところ、パンデミックを口実に住宅ローン支払いの猶予がなされたのは、後から差し押さえるための罠であったということになります。
この問題の規模は正確には分かりませんが、少し前のデータがありました。
データは2020年4月から2021年12月の分しかありませんが、この期間中、全米の住宅ローン利用者の16%がこのプログラムを利用したそうです。
アメリカでは合計で8900万人が住宅ローンを抱えていますが、そのうちの16%が今月末に問題に直面することになります。
該当するのは1420万件の不動産ということになり、もちろん全てがそうなるとは限りませんが、大半が売りに出されるか差し押さえになるということになります。
16%というデータは全体の一部のはずなので、実際にはもっと多いはずです。
そのため驚愕の数の不動産が売りに出されること確実です。
ちなみに2008年のサブプライムローン問題の時は220万件でしたので、7倍以上問題が大きいということになります。
ご存じの方も多いと思いますがサブプライムローン問題でアメリカ不動産は壊滅状態になりましたが、今回はそれを遥かに上回ります。
ここ最近この話題がニュースで頻繁に扱われるようになりましたが、これから大問題となります。
差し押さえの数が急増し住宅価格が下落すると、ローンの支払いを続けている人たちも"アンダーウォーター(水没)"と呼ばれる状態に直面します。
つまりローンの残額が住宅の価値よりも高いことに気付くと、ローンの支払いをやめて差し押さえられることを選択するようになります。
既にこの問題が起こり始めています。
富の象徴であった自宅が重荷以外の何物でもなくなる時に、人々は諦めて家を捨てて立ち去ることになります。
自宅を捨てて立ち去る(Walk away)という話は日本ではあまり聞きませんが、ローンがノンリコースのアメリカでは良くある話です。
数日前に$10,000で売りに出された物件の話を書きました。
あと数か月でこのような売り物件が大量に出で来ると思います。
その時に買い手はほとんどいないので、準備が出来ている人たちだけがチャンスをものにすることができます。
私の知り合いの中にもチャンスが来るのを待ちわびている人がいますが、大暴落した不動産を大人買いすることになるはずです。
これは予測ですが、今回の大チャンスでは不動産を購入できるとしても不動産登記がきちんとできなくなる可能性がありそうなので、
取引を安全なものにするために工夫が必要になりそうです。