お金というのは、市場の上昇局面よりも下落局面で儲けやすいものです。
残念ながら不動産という市場においては、上がり続けるという神話が広く浸透していて、これが失敗する大きな原因です。
不動産のバブルが起こると、突然人々が殺到し高値で購入した後に、バブルが破裂し家を失うというパターンを繰り返す人がアメリカでは非常に多くいます。
私も過去2年の間に物件を売却しましたが、買い手の中には自宅購入者が多くいました。
決済時にタイトルカンパニーで初めて顔を合わせるわけですが、話を聞くとリーマンショックの時に自宅を失ったものの、今になりようやくまた家を買えたという人が想像以上に多いものです。
もちろんこの後に何が起こるのかは、想像に難くないと思います。
バブルが崩壊すると、金融機関は不動産の差し押さえをして、安値で売り払うといういつものパターンを繰り返すわけですが、ここには金融機関が人々には言わないシステムが隠されています。
例えば一般人が50万ドル支払って購入した不動産を持っているとしましょう。
市場が下落したからと言って、25万ドルで売りたいと思う人はあまりいないでしょう。
しかし金融機関はそうは考えないのです。
半額で処分しても25万ドルの現金が入ってくれば、信用創造のシステムを利用して250万ドルの貸し出しをすることができると考えるのです。
確かに損はするのですが、貸し出した元のお金も信用創造で作り出したものですし、幾らかでも入ってくれば10倍にできるという考えがあります。
そしてそのお金に対して金利を要求します。(10倍というのは少し前の話です。今は100倍かもしれません。)
銀行と金融の仕組みをわかりやすく図解 – 信用創造、銀行、利子が10分で分かる
ですから不動産バブルが崩壊して不動産を激安で購入しようとする場合、売り手が誰なのかを知る必要があります。
一般人が売り手の場合、損をしたくないという気持ちが強く働くので、交渉はシビアになりがちです。
例えば、決済費用を負担しろとか税金を負担しろ、あるいはエージェントに支払うコミッションを負担しろと言ってきたり、価格交渉もなかなか難しいものです。
一方、相手が金融機関であれば交渉は意外とスムーズです。指値も効きやすいという特徴があります。
日本人でできる人は非常に少ないと思いますが、差し押さえを金融機関から買う時にその同じ金融機関から融資も用意してもらうということも可能な場合があります。
最近、住宅ローン最大手のウェルズファーゴが住宅ローン市場を大幅に縮小するという報道がありました。
これまでに住宅ローンに関わる複数の違法行為のため巨額の罰金を科されており、今はマイノリティに対してのみ貸し出しをするようです。
人種マイノリティに対して政府の資金により頭金を用意させて自宅を購入できるように"助け"、購入者は可能な限りローンの支払いをするわけですが、しばらくするとデフォルトし、金融機関は差し押さえます。
これは何かということですが、不動産サイクルの最後に無知な人々を引きずり込みますが、最初からデフォルト前提です。
できるだけ多くの支払いをさせた後に、家を差し押さえてしまい、最後には信用創造システムを使って金融機関は儲けるというシステムが裏側には存在しているわけです。
これを知っていると、なぜ金融機関がこのような違法行為に手を染めるのかが分かりやすくなります。
差し押さえの数は2021年から2022年にかけて、170%以上増加し、今年はここからさらに増えていきます。
金融システムの崩壊と同時に急増すると思われる差し押さえですが、金融機関は自らの生き残りをかけて血眼になって差し押さえを大量に行うはずです。
これまでは無理やりに貸し出すビジネスをしていましたが、これからはむしり取ることが主要なビジネスになります。
少し前までは金融機関に対しては10%の準備預金制度がありましたが、今は撤廃されています。つまり少しあれば無限に貸し出せるわけです。
これは差し押さえを処分する時に、"値段はいくらでもいいから売りたい"という動機を与えるものなります。
市場が暴落する時には金が儲かる、というのはこれが理由です。
金融機関というのはゼロからお金を作り出した上に、それを数十倍以上にした人に貸し出し負債を負わせ、最後にはむしり取るシステムを持っています。
そしてそこにはありえないレベルの貪欲が隠されています。そして何も知らない一般人は不動産バブルが起こるたびに、養分にされているということです。
今回は大崩壊が起こますが、そのプロセスが終わると比較的短期間の間に市場は回復に向かい、その後少なくとも数十年間はバブル崩壊は起こらないと思います。