アメリカ不動産情報

住宅不足というブラックスワンが発生中

人口減少により不動産のニーズが減少すると考える人もいますが、裏腹にアメリカでは慢性的に住宅不足の状態が続いています。

2022年のデータによると320万件の不足でしたが、昨年末の時点ではさらに悪化して不足数は400万件と推測されています。

 

ここ数年はバブルが加速したためデベロッパーが建設に着手しましたが、新規の供給はほぼ完全に止まりました。

景気が後退すると、小さな家に引っ越したり実家に戻る人も出で来るため、空室率が上がりこともあります。

それでも根本的には住宅不足が深刻なのがアメリカの不動産市場です。

移民国家という性質上人口が増え続けていることが理由です。

 

悪化する賃貸市場に拍車をかけているのが、大量に殺到する不法移民です。

問題はどれくらいの数の不法移民がアメリカに入国しているのか、という点です。

バイデン政権が始まってから720万人の不法移民がアメリカに入国し、36の州の人口を上回っていると報じられています。

正確なデータはないようですが、現在は毎日1万人が不法に入国しており、今後60日の間に流入する数はさらに急増すると言われています。

 

大量の不法移民の流入は住宅事情の悪化に拍車をかけています。

家賃の上昇と同時に不法移民にアメリカ人の雇用が奪われるという悪夢のような事態になっています。

もちろん不法移民にかかるコストは税金により支払われています。

特に低所得世帯はやって来た不法移民たちと住宅を取り合う事態になっており、結果としてホームレスになることも珍しくありません。

これまではホテルを借り切って不法移民を収容していましたが、全く足りず、今は学校を閉鎖して不法移民を収容しています。

子供たちはオンラインで授業を受けることになり、学校は用途変更の後に住宅へ変更されるところも出始めています。

それでも足りず最近は個人の住宅に入居させる案が次々と浮上しています。

ボランティアを募る自治体もあれば、法制度化して強引に住ませようとする自治体もあります。

強引に不法移民を押し付けることに強烈な反発が起こっています。

 

不法移民の流入は州によって異なりますが、2018-2022のデータによるとカリフォルニアとニューヨーク、テキサスとフロリダに集中しています。

 

空室率が急騰しているオフィスビルを住宅に改装する案も浮上していますが、法律とコストが障害となり解決策とはなりそうもありません。

今後の動きとしては、不法移民の住居を確保するため政府が巨額の予算を組むことになると考えられています。

アメリカにはセクション8と呼ばれる、低所得者向けの政府の家賃保証プログラムがありますが、大幅に拡大することになると思われます。

 

ここで大切なもう一つの傾向があります。

不動産市場の原則と大量の解雇が発生しているため、現在全米では住宅ローン滞納による差し押さえが急増しています。

自宅を失った人たちは、引っ越した後に賃貸物件に入居することになります。

大家としては入居者の質が気になるところではありますが、賃貸不動産の需要が最高に高まっていることは知っておくべきだと思います。

人々が自宅を失うように仕向ける一方で、意図的に賃貸事情を悪化させる事態の今後の進展に注目したいと思います。

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