アメリカの不動産投資で最も大切といっても良いのは、参入のタイミングです。
いいタイミングで参入し、いいタイミングでエクジットすることです。
アメリカの不動産は約10年サイクルでバブルと崩壊を繰り返しているので、判別はそれほど難しくありません。
バブルが弾けると、これまでは富の象徴であった不動産は、突然人々を貧困に追い込み最大の負債へと様変わりします。
誰も見向きもしなくなったタイミングこそが参入のタイミングであり、市場が過熱して来た時には、欲張らずにエクジットすべきだと思います。
一年ほど前に、不動産情報大手のZillowが転売事業から手を引いたという記事について書いたことがあります。
その時は巨額の損失を出しての撤退となりましたが、今から考えれば懸命な決定でした。
この時にはすでに不動産はピークを過ぎ、Zillowは転売目的で購入していた大量の物件を損切りしました。
しかし、この時に撤退せずにまだ転売目的で不動産を買い続けた不動産大手があり、今は巨額の損失を抱えています。
それはオープンドアです。
今年の6月の時点で、54億ドルの損失を出しており、その後に不動産は大幅な下落に転じています。
つまり不動産価格のピーク近くで大量に購入してしまった不動産価値が一気に減少していく中で、なかなか処分することもできずに損失が一気に膨らんでいくという苦境に立たされています。
待てば待つほど損失は膨らみ、そして損をせずに売り抜けることは不可能な状態になっています。
記事によると42%の取引で損失を出しており、ロサンゼルスでは55%、フェニックスでは72%の取引で損失を出しているとのこと。
Market Making Is Hard for Houses
Home Robo-Flipper Opendoor "In Danger Zone" After Losing Money On 42% Of All Transactions
オープンドアは損失覚悟で大量売却しようとしているようで、そうしたエリアでは特に下落圧力がかかります。
現在、コロラドスプリングスでは120件以上売却しようとしているようです。
例えばこの物件は数週間ごとに値下げをしていますが、買い手は見つからないようです。いったいどこまで価格が下がるのか見ものです。
参入のタイミングと逃げるタイミングを間違えると、こういうことになります。
今週も利上げが予定されていますし、不動産価格の下落はまだ始まったばかりです。
不動産屋が良く言う「買いたい時が買い時」とか「インカムゲインが出るからいつ買うかは関係ない」といったセールストークはただのウソです。
同じものが安く買えるのならば、安く買うべきです。
週末に知り合いの不動産エージェントと打ち合わせをしましたが、現在は急落中で一気に、差し押さえも増えてきていると話していました。
データによると、下落幅はリーマンショックのレベルをすでに超えつつあります。
年末くらいからは歴史上、類例を見ない不動産大暴落となるのはほぼ確実だと思われます。