最近、ネットを見ていると世界のマイナーな国や都市の不動産を紹介したり、起業しませんかという勧誘が多いと思います。
やはり日本の今後に明るい展望が見えないため、他のところに打開策を見つけようという気持ちはよくわかります。
宣伝文句としては、発展の見込みがあるとか人件費が安いとか、スタート資金が低額で抑えられるとか、その他いろいろとあることでしょう。
遠くから見るとよく見えるものも近くからもっと現実的な視点で見ると、実はそこまで魅力的なものではないことに気づくかもしれません。
特に最近は不動産で旧ソ連圏の都市の案件を紹介する人が増え始めたようです。
しかし、私の意見では旧ソ連圏への投資は上級者向けです。それは不動産投資もそうですが、事業投資はさらに難易度が高いです。
まずはロシア語という言語の壁、そして文化の壁が大きいです。
旧ソ連圏は欧米とは全く異なる文化があり、日本人にとって理解するのにはかなりの時間がかかると思います。
ただ1回か2回訪問したくらいでは全くわからないと思いますし、言われたことの裏を取ることすら不可能だと思います。
よくわかっていない日本人が投資したとしても、カモにされるのがオチです。
私自身、旧ソ連圏で一番可能性があり、難易度が低いと思われるロシアに投資していますが、ロシア人ですら不動産売買は怖がってやらない人が非常に多いです。
一度は私も騙されそうになり、裏の手を使ってお金を取り戻したことがあります。
これはなぜかというと、旧ソ連圏にはエスクローというシステムがないからです。
不動産の賃貸管理についてですが、私は何とかうまくいっていますが、法整備が整っておらず、現地に信頼できる人がいない限り現状の確認すらままならないでしょう。
何度が家賃の未払いでの退去をさせたことがありますが、人を使って個人的に交渉せざるを得ず、弁護士を使って問題に対処できるとは事情が大きく異なるのだと思いました。
もちろん弁護士を使っての対応も可能なのかもしれませんが、アメリカのように執行官を使っての排除というシステムはないようです。
ロシアですらこの有様ですから、周辺の小国の状況は推して知るべきです。
つまりトラブルが発生した時に、頼りになるセーフティネットは投資家個人のリテラシーと言語力、そして現地とのコネとなってしまうわけです。
このすべてがない人にとっては、いったんトラブったらあとは放置するしか打てる手はないかもしれません。
ポテンシャルは高いものの、ハードルも高いのがロシア語圏の不動産投資です。
事業投資についていえば、これは問題外です。
まずは遠隔地から現地の事業をコントロールすることはまず不可能。
事業投資は失敗する確率が高いのに、ハイリスクのところで遠隔地からコントロールしようというのは自殺行為のように思えます。
自分が現地に引っ越して、ガッツリやる位の意気込みでないと難しいと思います。
これはどのビジネスでも同じです。
これまでに旧ソ連圏に進出した大半の企業が撤退しているには理由があるわけです。
初心者が投資してもよいと思われるのが、駐在員向けの不動産投資、銀行の定期預金、ランドバンキングくらいしか思い当たりません。
そのため、私はリスクを取れる人にしか旧ソ連圏への投資はお勧めしていませんし、それもトラブルがあっても現物が残る不動産だけです。
グローバルな視点を持てとか、海外でチャンスをつかめてきな無責任なポジショントークに乗せられて、養分にされないようにご注意ください。
旧ソ連圏の投資についていえば、「やったもの勝ち」にはなりません。