アメリカでMLSで普通に売られている物件の中に、時折、人が住んでいる物件があります。
そういう場合、"tenant occupied"(テナント付き)と書かれています。
日本人的に考えると、入居者がいるので、すぐに家賃がもらえると勘違いしがちですが、テナントが家賃を払っているとは限りません。
実はこれが大きなトラブルにつながる可能性があります。
アメリカの多くの州では、居住者には基本的にきちんとした住宅に権利が認められています。
しかし問題なのはこの権利が不法居住者に対して認められていることです。
つまりどういうことかというと、家賃を払わない入居者や空室物件に勝手に住み着いてしまった不法居住者に対しても、物件のオーナーはこの権利を満たさないといけないのです。
不法居住者が住み着いている物件を万が一、買ってしまった場合、強制退去の裁判を起こすのですが、多くの場合、不法居住者は、物件に問題があるから家賃を払わないと主張することが、よくあるのです。そうなるとオーナーは不法居住者のために、物件の修理を強いられることになり、ここでかなりの資金を投入することになります。
理不尽なことですが、勝手に住み着いたり、家賃を踏み倒すような輩にそんなことをいう権利があるのか、と思うのが普通ですが、残念なことにアメリカではよく起こるのです。
さんざん、直した後にやっと裁判所から退去の判決が下った後にも、今度はせっかく直した物件が壊されるかもしれないというリスクに直面することになります。保険に加入すれば、カバーはされますが、時間のロスはかなりのものです。
アメリカで不動産を買う場合、基本的に空室物件を選んだ方が安全です。
もちろんこれには投資家向けにきちんとしたテナントを入れた物件は含まれません。