昨日、地銀のシチズンズバンクが破綻して、FDICの管理下に入りました。
報道によると、「以前の調査では見つからなかった巨額の損失が発覚したため」閉鎖されたことが報じられています。
帳簿がいくつも存在するというのは、金融機関では良くある話です。
そしてアメリカの複数の金融機関で入出金ができなくなったことが大きな波紋を広げました。問題はまだ解消していないようです。
もし週明けまでに問題が解消しなければ、取り付け騒ぎが発生することになると思います。
金融機関に現金が不足していることはかねてから書いていますが、預金封鎖と取り付け騒ぎが広がると変わった現象が起こると思われます。
それはデジタルの通貨の価値と現金の価値に差が出るということです。
例えば、買い物の支払いとして現金は受け取るがキャッシュレス決済は受け付けないといったケース。
あるいは支払い方法により、価格が異なるというケースが起こることになると言われています。
デジタルで受け取っても引き出せなかったり使えないとなれば、当然人々は現金を欲しがることになります。
現金とデジタルの通貨の価値に差が出るということは、中央銀行にとっては致命傷です。
中央銀行はこの時に事態を打開しようと巨額の資金注入をすると思われますが、注入するのはデジタルで紙幣ではありません。
デジタルの通貨の価値が下がり現金の価値が上がるという現象が起こると、中央銀行が発行しようとしているデジタル通貨に対する信頼は一気に毀損されます。
CBDCの試みはこの時点で行き詰るはずです。
恐らくですが、このブログをご覧の方たちは一定の額の現金を用意しておられるかと思います。
そしてこれも恐らくという前提条件が付きますが、預金封鎖直後は一時的に極端な現金不足により現金の価値が上昇することになるはずです。
その後には信頼感の低下により現金の価値(紙幣)は一気に下落していくことになると思われます。
人により意見は異なりますが、数週間から数か月だとする専門家が多いようです。ワイマー共和国では6か月程度続いたようです。
良く聞かれる質問の一つに、どれくらいの現金を用意しておくべきかというものがあります。
これは回答が難しい質問で、先のことは誰にも分からないということに加え、状況は人により異なるためです。
切り抜けられる程度の現金を用意しておくことは最低限必要だと思います。
ただ現金の購買力が強まる時期に資産を購入するために多額の現金を用意しておくべきかどうかは、個々の判断になると思います。
無駄にしたくないのであれば、現金は必要最小限という選択になると思いますし、リスクを取れるのであれば現金を余分に持つという選択になるかと思います。
現金をどれくらい用意するのかを判断するために、以下の情報は役に立ちます。
ご存じの通り今年に入ってから日本円は対米ドルで23-24%購買力を失っています。
比較対象の米ドルは1、913年から2020年までで97%の購買力を失っています。
そして2020年から2022年の2年間で40%の購買力を失っています。
そして今年のデータはまだありませんが、今はもっと失っているはずです。
ドルは残りの3%からさらに半分以上失い、残りは1%あるかどうかという状況ですし、それと比較して日本円はさらに下落しているということになります。
1%が0%になる日はそう遠くはありません。
購買力というのは、本来は他の通貨と比較するべきものではなく、金と比較すべきものです。
こちらのチャートによると、日本円は20年間で6/1に下落しています。
そして昨日、ホワイトハウスのエコノミストはBRICS加盟国は、共通の取引通貨がなくてもドル覇権を破壊することができると認めました。
ここで"Wrecking ball"という表現を使っていますが、建物を破壊する巨大な鉄球のことを指しています。
購買力の最後の1%はすぐにでも消え去りそうですね。
ツイッターである方がこの投稿をしていました。マルクをドルや円に置き換えてみるとよいと思います。
これは歴史が我々に教えている教訓です。