昨日の話には続きがあります。
BISは"警告"を発していたわけですが、同時に非常に意味深なビデオも公開しています。
問題には触れずにさらっと説明しているので分かりにくいですが、今の金融のシステムリスクの根幹について話しています。
FXスワップはMBS同様経済の基盤をなすもので、これなして世界経済は成り立ちません。
それがバランスシートからごっそり抜け落ちていたということは驚くことですが、違う問題もあるようです。
この動画の最後のところで、ドルの貸し出しの大半はアメリカとヨーロッパの金融機関で行われ、借り入れは日本の金融機関で行われていると説明した後に、FXスワップはアメリカの金融機関経由で行われている、と認めています。
難解で込み入っているため分かりにくいのですが、仮にFXスワップが崩壊したり、アメリカの金融機関が取り扱わなくなるだけでも世界の金融システムは崩壊してしまうということになります。
そしてご存じのようにアメリカでは、利上げによって数々の金融機関が破綻寸前の状態であるわけですが、アメリカの小さな地銀がFXスワップで大きな役割を果たしているケースも多くあります。
少し前にリパブリックファースト(フぁ―ストリパブリックとは違う銀行)という金融機関が破綻寸前に追い込まれました。
この金融機関は非常に小さな金融機関ですが、FDICは「システムリスクがある」ため、救済しました。
そしてこのことを知っている他の金融機関はFXスワップがリスクであることを意識するため、FXスワップをショートするかバランスシートから減らそうとします。
そしてこれは世界経済に甚大な影響を与えることになります。
アメリカの小規模の地銀が破綻することですらシステムリスクがあり、世界経済が止まる可能性があるということを示唆したかったようです。
こちらもかなり大きな問題です。もうあちこちで取り上げられていますが、ロシアはガソリンとディーゼルの輸出を「一時的に」停止しました。
理由は国内の需要がひっ迫しているためというものですが、ロシアはディーゼルの輸入元の第二位の規模で、ヨーロッパは40%をロシアから輸入しており、ここ9か月間は80%にまで急騰していました。
説明の必要はありませんが、ディーゼルがないと品物の輸送は止まりますし、輸送ができなければ企業は倒産し、物の価格は跳ね上がります。
備蓄が底をつくのは時間の問題で、ヨーロッパ諸国にとっての死刑宣告です。
アメリカも石油備蓄をすでに放出してしまった状態にあり、影響を受けますが、それに加えヨーロッパ諸国に対しロシアとの関係悪化を強要したアメリカに対しての反発が強まりそうです。
今回の措置は大問題を引き起こすことになりますが、もしかしたらロシアの動きにサウジが追随する可能性がありそうです。
CNNは今回のロシアの措置について、ヨーロッパ経済を破綻させるための措置であるとして非難していますが、アメリカはドルを使ってロシアを攻撃してきたのでロシアはやり返しているだけの話でしょう。
Russia’s diesel export ban may be just its latest attempt to hurt Europe
別の話です。
アメリカで上院議員が賄賂を受け取っていたとして逮捕されました。
ニュージャージー州選出の上院議員が現金と金塊を受け取っていたとして、逮捕起訴されています。
規模としては他の議員と比べるとかなりの少額だと思います。
良くある話なのですが、ここでの問題はこの議員が民主党議員であるという点です。
現在、下院は共和党が過半数を占めており、上院は無所属議員が民主党寄りのため50-50の状態となっているため、タイブレーカーは副大統領のカマラハリスが持っている状態です。
上院は両党の投票数が同数のため、決定を決める投票はカマラハリスが行っています。
しかし、この民主党議員が逮捕起訴されたことで投票権を失うことになれば、共和党の法案が下院と上院の両方で可決されることになります。
これはアメリカ政府閉鎖、CBDC発行禁止、バイデンの弾劾も含め数々の法案が一気に通過する可能性が出できました。
どうなるのかは分かりませんが、この件は要注目です。
経済の話に戻りますが、世界経済はいつ突然ストップしてもおかしくない状態に入っています。
恐らくまずは流動性がなくなるため、深刻なデフレが起こり、その後にハイパーインフレへと振れていくと思います。
深刻なデフレが起こるタイミングは、準備ができている人たちにとってはチャンスなのかもしれません。