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中央銀行は"裸の王様"なのか?

世間一般では株価と為替ばかりに注目が集まります。

メディアが意図的に注意を逸らすために行っているもので、本当に大切なのはそこではありません。

大切なのは国債であり、我々が注目すべきなのは国債の金利動向です。

国債金利に関しては、分かりにくい報道がなされるだけで意図的に重要性を隠しています。。

 

経済学者ジョンエクスターのピラミッドによると、現在の経済の根幹を構成しているのは国債です。

国債の動向は経済システムだけでなく、社会の根幹そして国家の土台ともいうべきものです。

そしてそれ以外の資産全ては国債に依存しています。

エクスターのピラミッド

国債金利が上がる=国債の価値が下がることを意味します。

ここのところ日本だけでなく、イギリスでもアメリカでも国債金利が上昇しています。(正確にはボラリティが激しくなっています。)

国債はデリバティブなわけですが、その中でも種類がいろいろとありますが最大の物は金利のデリバティブです。

国債金利に巨額のお金が投資されており、数十倍以上のレバレッジがかかっています。

もちろん全体像は分かりませんが、2008年の時点で1000千兆ドルのデリバティブが存在していたと言われており、現在は3000-4000兆ドルのデリバティブが存在しているようです。

全体像が分かりにくいのは、リーマンショック後にIMF主導で計算方法を改ざんし、実際よりも額を小さく見せかける試みが行われたためです。

 

株式市場やコモデティのデリバティブなどがありますが、その中で最大の物は国債と金利に関係するデリバティブです。

全世界のGDPが100兆ドル程度で全世界の債務が300兆ドルと言われている中で、3000-4000兆ドルもデリバティブがあるということでどれくらい巨大なのかわかると思います。

ですから国債金利が急騰したり、中央銀行が意図的に金利を急激に上げるというのは、システム全体にとってかなりリスクの高い動きだと言えます。

例えで言うとすれば、100階の超高層ビルがあるとして基礎が1cmずつ沈下していくようなものです。

基礎が崩れれば、その上に建てられている建物すべては一気に崩壊することになります。

株式、不動産、あらゆる種類の債権、通貨は巻き込まれていきます。

 

金利上昇により国債価格が下落すると、一番困るのが中央銀行です。

世界中の中央銀行のバランスシートの大半を占めているのは国債で、その価値が大幅に下がると、中央銀行は破綻状態になります。

この状態から助かるためにできることは、一つしかありません。

エクスターの逆ピラミッドの根底部分にある金を買うことです。

最近、世界中の中央銀行が金を大人買いしているのは、生き残りをかけた戦いという側面があると思います。

 

昨日、ファイナンシャルタイムズ紙にある記事が掲載されました。

国債はもはや安全な選択肢ではない」という記事です。

このような記事が出ることはかなり異例なのですが、内容もかなり踏み込んだものです。

Bonds are no longer the safe option

FRBが利上げのため巨額の損失を出していて、3/31の時点では9110億ドルの損失を出しており、わずか420億ドルしかない資産の22倍もの損失であることを指摘しています。

事実上の破産状態です。

支払い能力がない中央銀行に裏付けられているドルが、世界の基軸通貨であり続けられるのかどうかについて疑問を投げかけています。

ただしFRBにはバランスシートに掲載されていない資産があります。これは通貨を大量に発行することによるものです。

問題から逃れるために、お金を刷りまくることができるとしています。(要するに日銀同様、巨額の買いオペでYCCが可能ということ。)

しかしそれはワイマー共和国でドイツ人が経験したように、市場が中央銀行は裸の王様であることを理解するまでの話であると結論しています。

つまりお金を刷り続けなければすべてが崩壊してしまうため通貨の発行を止められなくなり、ハイパーインフレにより、中央銀行と国家が崩壊する時が訪れるということです。

 

WSJも同様の記事を昨日出しています。

連続でこうした内容の記事が出ることはとても偶然だとは思えませんが、今はリセットの途中ですし、つまりそういうことなのでしょう。

中央銀行が抑え込もうとしても国債金利上昇に歯止めをかけられなくなる時、すべての崩壊は近いということを知っておくべきですね。

The Scary Math Behind the World’s Safest Assets

 

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