結局のところこういうことです。
アメリカの債務問題は決着するとしても、逆に決裂したまま時間切れになるとしても、結局はほぼ同じところに行きつきます。
私を含めてデフォルトの可能性が高いと考える人も多いです。
今のところマッカーシー議長は妥協の兆しを見せているため、バイデンとの交渉は合意に達する可能性があります。
仮に合意に達したとしても、フリーダムコーカス(46名からなる共和党保守議員連盟)が反対することは明白です。
フリーダムコーカスの議員たちはマッカーシーの議長就任を阻んでいた勢力で、15回もの投票の末にようやく選出されるという前代未聞の事件が起こりました。
弱腰なマッカーシー議長に対し、妥協することをやめるように要求しています。
もしかしたらくマッカーシー議長は妥協するのかもしれません。しかしその後にどうなるのかは明白です。
議長就任を最後の最後まで阻んでいたフリーダムコーカスのマットゲーツ議員は、"共和党議員の大半は「人質」との交渉を望んでいない"と発言しています。
アメリカ経済のみならず、世界経済を人質に取っているという発言です。
その上で、マッカーシー議長を辞職に追い込む計画はないと述べており、成り行き次第ではそうなる可能性があることすら匂わせています。
McCarthy brushes off Freedom Caucus letter rejecting concessions on debt limit
これは可能性が低い仮の話ですが、仮に合意が成立した後法案が議会を通過するとしましょう。
その結果、債務上限の引き上げを行われると、あっという間に何兆ドルものドルが短期国債の形で市場に流れ込むことになります。
ここでの問題は、その後にだれが大量の米国債を買うのかという点です。
当然、中小の金融機関には買う余力がありません。
可能性とすれば、JPMやバンクオブアメリカといった大規模金融機関が買うことになるはずですが、こちらも預金流出で苦しんでいます。
そして今、巨額の米国債を買うとなれば、預金流出に拍車がかかることになり今度は違う金融危機が発生します。
ですから債務問題の決着次第では、崩壊までの道筋がやや変わるということになりそうです。
昨日一日で財務省の資金は49億ドルから38億ドルに減少しました。
6/15まで何とか持ちこたえられれば、税収があるのでやや延命できますが、そこまで持つのでしょうか?
ところで世界中の不動産が急速に下落していることについては以前に書きました。
MBSを大量に保有している金融機関が、資金流出の埋め合わせに含み損が出ている資産のたたき売りを強いられているわけです。
2008年の時点では、モーゲージ債の大半は金融機関と政府系の住宅公社が保有していましたが、今はFRBが大量に保有しています。
つまり米ドルの下支えをしているモーゲージ債の価値が大幅に毀損されています。
そして今アメリカの不動産はリーマンショックに近づきつつあり、これからマイナスの領域に入り始めます。
今はまだあまり語られていませんが、もう少しするとアメリカの不動産市場の崩壊とともに米ドルの信用性にも影響を与え始めると思います。
アメリカは今週末はホリデーです。
以前にもFDICの会議で語られていましたが、預金封鎖をするのであれば3連休の週末に行うことになっています。
特に今は債務の上限問題、金融危機、そしてCBDCの導入などの重要な問題が発生しています。
当然、バンクホリデーを発動する選択肢はあるはずです。問題はそれがいつなのかは我々一般人には分からないということです。
これまでの通例で言えば、金融危機は9月に起こすのが決まりでしたが、今回はそこまでは持たないでしょう。
個人的には今週末は何も起こらないと思っていますが、アメリカの会計年度末までのホリデーは数えるほどしかありません。
FDICは預金封鎖を強引に行えば、リセットできると考えているようですが、非常に甘い見通しだと思います。