先週、元ダラスFRB総裁のカプラン氏がインタビューの中で、利上げに関連して現在金融危機は「第三段階」に入りつつあるという発言をしていました。
金融危機はFRBによる急激に利上げが原因なので、止めるべきだという発言をしていました。
現職のFRBではないので、思ったことを正直に語っていたのが良かったです。
現在金融機関からは1週間に47億ドルの資金が流出しています。
少し前に巨額の救済もあり、今は一時的に金融機関の破綻については報道があまりなく落ち着いている印象がありますが、水面下では急速に資金が流出しています。
特に中小の金融機関からは1日に8億ドルの預金が流出していると言われています。
このペースが続くと、巨大金融機関を除く中小の金融機関の規模は2年間で半分に縮小する計算になります。
これがカプラン氏の言うところの第三段階のようですが、すでに急激に利上げにより金融機関は巨額の損失を出しています。
債権やローンの価値の毀損により損失を出しているわけですが、問題はさらに続いていきます。
今の金融機関の問題は、一気に減少していくバランスシートに穴を埋めるための資金調達ができないということです。
そのためにできる唯一の対策と言えば、ローンを縮小することです。
それは言い換えれば、新規の貸し出しをやめること、そして融資の更新を断ること、リファイナンスはもちろんのこと顧客に対して早期返済を要求することです。
一番の影響を受けるのは地銀で資金調達をしている中小企業ということになります。
今はニュースの見出しには載らないので静かに見えますが、水面下では毎日のように資金流出と同時に中小企業の破綻が続いています。
カプラン氏が言うところの第4段階は、中小金融機関と資金繰りに詰まった中小企業が一気に大量破綻する段階ということなのかもしれません。
そして当然、この段階で金融機関は含み損が出でいる資産を叩き売りをすることになります。
ところでFDICは5/31の水曜日に第4四半期ごとの銀行のプロフィールを発表し、破綻のリスクがある銀行に関するデータを公表することになっています。
問題はどこまで正直に公開するのかという点です。というのは昨年末の報告ではフィーストリパブリックもシリコンバレー銀行もハイリスクの金融機関には含まれてはいませんでした。
しかし、問題が発覚するとあっという間に破綻してしまいました。
今回の報告で、どれくらいの金融機関が破綻の危機がある金融機関として公表されるのかは分かりません。
ただ普通に考えれば、破綻寸前の金融機関は少なくとも数十はあるはずです。
少し前までイエレン財務長官が根拠を示さずに6/1に財務省の資金が底をつくと繰り返していたのは、これが理由なのかもしれません。
つまりイエレン財務長官は、公表後に破綻に追い込まれる金融機関があることを事前に知っていたと考えるべきなのかもしれません。
それなのに政府には救済する資金がないという意味で、6/1がX-DAYだと繰り返していたのかもしれません。
だとすると、根拠を示さずにこの日にお金が無くなると繰り返していた理由が分かる気がします。
もちろん金融機関の破綻が起こるから、お金が足りなくなるなどとは口が裂けても言えませんからね。
ただ昨日、X-DAYを6/5に延長しましたが、もしかしたらこれも人には言えない理由があるのかもしれません。
もちろん金融機関の破綻が起こると預金は保護されませんので、預金引き出しのパニックが発生することになると思います。
もしかしたら今週は運命の1週間となるのかもしれません。
金融システムの崩壊を待ち続けている人も多いと思いますが、かつてないほど近づいているということだけは確かなようです。