投資の原則の一つに、「投資対象に愛着を持つべきではない」というものがあります。
これは当然の話ですが、投資家であればいつかのタイミングで利益確定をしなければならないはずだからです。
愛着を持つと売るタイミングを逃すことになりかねません。
恐らく私のブログをご覧になっている多くの方は、金と銀の現物を買われていることと思います。
これまでお金の正体について知らず、生まれて初めて「本物のお金」を手に入れた方も多いはずです。
しかし、愛着を持ちすぎるべきではありません。お金というのは、上手に使って初めて価値があるからです。
もちろん経済危機の時に貴金属は非常な威力を発揮します。しかしその威力が最大の時に活用しなければ、宝の持ち腐れとなる可能性があります。
下の図は以前にも取り上げたものですが、ウェルスサイクルと呼ばれるものです。
経済のサイクルに従って、資産を移動させるべきであるとする理論です。
サイクルに合わせて乗り換えていくだけで、自然に資産構築ができるというものでそれほど難しい話ではありません。
好景気になると不動産と株が上がり貴金属が下がるので、その時に貴金属を買います。
反対に不景気になると、貴金属が上がり不動産と株が下がるので、貴金属を売って不動産と株に乗り換えるという理論です。
これまでに貴金属を買われた方たちも、このサイクルが来る時に不安を抱き過ぎていたり、愛着を抱きすぎるとせっかくのチャンスを逃してしまうわけですね。
ウェルスサイクルは非常に簡単な理論ですが、威力は強烈です。
下の図は以前にも掲載したかもしれませんが、ウェルスサイクルを使って資産移動をした場合にどうなるのかを示したものです。
これは金と不動産を周期的に変えるというシンプルなものです。
1920年に一軒の家($3000相当)を持っていたと仮定し、景気のサイクルごとに乗り換えていくと、1930年には同じような家を2.5軒入手していることになります。
そしてさらに繰り返していくと、1980年には家が30件に増えていき、2011年には160件にまで増えます。
そして恐らく今のことだと思いますが、今度は480件にまで増加していきます。
これは額にすると1920年の時点では$3000からのスタートでしたが、100年後には10億ドルになることになります。
もちろんこの試算は例としてかなり簡略化されたものですが、ウェルスサイクルの威力を示すものです。
こうなるためにはかなりの運が必要なのは間違いありませんが、サイクルに従っているだけでかなりのスピードで資産を増やしていけることがお分かりになると思います。
反対に乗り換えないと、100年間経っても元の家一軒のままということになります。
今、アメリカでは貴金属投資家の多くが不動産暴落時に参入しようとして待ち構えているのはこれが理由です。
そしてサイクルは、厳密に細かく見ていくといくつか種類があります。
約10年ごとに訪れるサイクルとコンドラティフの波(長期波動)と呼ばれる約40-60年ごとに訪れるものがあります。
これはロシアの経済学者のコンドラティフという方が提唱したものです。
もともとは当時のソビエトの指導者であったスターリンがコンドラティフに命じ、敵国であるアメリカの覇権がいつ終わるのかを算出するようにと命じたのが始まりであったようです。
様々な調査の結果、コンドラティフはアメリカの覇権は、経済の長期波動により終わりを迎えるとする報告書をスターリンに提出しました。
スターリンはソビエトがアメリカに勝利すると考えていたのに対し、コンドラティフは放置しておけばアメリカは経済問題で勝手に自滅するという結論であったため、スターリンの怒りを買い、立場を負われ投獄されるという憂き目にあった方です。
現在、コンドラティフの理論は学者に広く受け入れられています、そして今回の経済危機はコンドラティフの波のようです。
50年間のひずみが一気に放出される時期で、50年前と言えばニクソン大統領が金本位制を廃止してからというもの、偽物のお金が異次元のスビートで増え続け、崩壊寸前のところにまで来ています。ペトロダラーも終わりました。
この反動が一気に来る時に、上手にサイクルを利用されることをお勧めしたいと思います。
貴金属価格が上がる時に、嬉しくなっていつまでも握りしめているとチャンスを逃すことになると思います。