歴史を振り返ると分かりますが、通貨の生存率は0%です。
基軸通貨であったとしても、平均27年間でその座を失うと言われていて、通貨も100年持てばいい方です。
生存期間はそれぞれ異なりますが、最終的には必ず購買力が無くなり姿を消すことになります。
日銀は異次元の金融緩和を続けても破綻しないと言い続けている人たちが日本には多いようですが、それはただ単に無知なだけか幻想を見ているだけで、人は永遠に生き続けると言っているようなものです。
人間はおろかなので、過去に何度も犯した間違いを何度も繰り返します。そして通貨が崩壊する時にその通貨をベースにしたシステムも崩壊します。
なぜ通貨の失敗率は100%なのかというと、そこには構造的な大問題があるからです。
そもそも最初の通貨は借りてきたものをベースに発行したもので、その時点で負債なわけです。
そして負債なので金利を支払うわけですが、金利調達のためにさらなる負債を負います。そこでまたその負債にも金利が発生するという悪循環のシステムで構築されています。
つまり負債が膨張し続けなければ、維持が不可能であるという根本的な欠陥を抱えているわけです。
崩壊点がいつ訪れるのかはケースバイケースですが、最後には債務を支えきれなくなるという点では行きつくところは同じです。
債務が増え続けても破綻しないと主張する人たちは、まともな思考回路が欠落しているとしか言えません。
巨額の負債を個人や企業が負うと危険だというのに、中央銀行と国家ならば大丈夫と考える時点で矛盾しています。
どんなに理論武装して論議をこねくり回したところで、負債はそのまま残ります。そしてツケを負うのはあなたです。
今回が過去と違う点も多くあります。
今回は世界中のほぼすべての通貨が同時に崩壊に向かっていることです。
金融システムが複雑に入り組んでおり、一つが壊れればあっという間に他国の経済と通貨に波及するシステムは過去には存在しませんでした。
例えば、日本やEUといった巨大経済圏が危機に陥れば、ほんの数日間のうちに全世界に波及することになります。
恐らく日本は債務率の高さから、崩壊の中心地のひとつになるのではないかと思っています。
通貨発行量が過去とは桁違いであることも過去とは異なります。
数日前に書きましたが、現在は1980年当時によりも55倍の通貨が流通していること、購入できる人の数が18倍もいること。
そしてお金持ちの数も当時とは比較にならないほど多くいることについて書きました。
ここでひとつ追加したいことがあります。
通貨というのは、行き場を探すものです。いったん発行されると必ずどこかに向かいます。
1970-1980年代と今が違うのは、発行されたお金が行きつく場所が非常に多いということです。
金融資産というと株式であったり、債券や不動産であったりするものです。奴隷が金融資産とされた時代もありました。
しかし今は時代は金融資産だけでなく、携帯電話、テレビ、自動車、仮想通貨、高級時計やカバンなどに姿を変えています。
以前とは違う実に様々な準金融資産とも言うべきものが多数存在し、それらに姿を変えているわけですね。
人がタンスの中やベットの下に隠しておいたへそくりも、通貨が崩壊すると一気に表に出で来ることになります。
そしてそれらの巨額の通貨が一気に向かう場所はほんの数か所しかありません。その中心は金と銀の現物です。
なぜかというとその理由は非常に簡単で、金と銀は負債ではなく、また同時に決して破綻しないからです。(正確には破綻できない)
その時にはほぼ全員が買い手で、売り手はほとんどいないという状況が発生することになります。
これは英語で言うところのアイスホッケーのスティックのような急騰が起こりますし、クリフハイが言うUnobtanium(入手不可能なもの)になります。
貴金属を保有しているのは世界人口の1%以下です。
つまりその時に金と銀を持っているあなたは上位1%に入るわけですが、永久には続かないので賢く行動する必要があります。
ところで過去数日間だけでも、かなり気になる報道が相次いでいます。
モーゲージ債大手が相次いでデフォルトしていますし、カリフォルニアの中堅金融機関も破綻したようです。
これらは通貨が崩壊に向かっていることの目に見える証拠だと思います。