一週間ほど前にバイデン政権は経済アドバイザーのトップに、FRB副議長のブレイナード氏を指名する方向であることが報道されました。
Biden to name Fed’s Lael Brainard as top economic advisor, source says
表向きは経済に精通している人物を起用することで、政権の急落する支持率に歯止めをかけたいというのが狙いだと説明されています。
前任者はバイデン政権が泥船であると考えて、早めに脱出することを決めたようです。
しかし、この動きにはもっと違う狙いがありそうです。
現時点ではデジタルドルはFRBが発行することになると考えられていますが、ご存じの通りFRBに法的な通貨発行権はありません。
違憲状態のまま通貨発行を続けている中で、当然指摘されるのがFRBにデジタルドルを発行する権限は本当にあるのかという疑問です。
違憲状態であるとされていますが、少しは法的な基盤が存在するとする人もいます。いずれにしても根拠が薄弱なことだけは間違いありません。
解釈にもよりますが、憲法では金と銀のコインがアメリカの通貨であるとされ、連邦政府がその規制を行うとされています。
そのためパウエル議長はCBDC発行に関しては、「議会の承認」があれば発行を進めると繰り返し発言しています。
強引に推し進めるわけにはいかない状況に置かれているわけです。
ブレイナード氏はFRBの中でも強硬なCBDC推進派で、バイデン政権の動きはFRBから推進派トップを政権に引き抜こうとするものです。
つまり、見方によってはデジタルドルはFRBではなくアメリカ政府が直接発行する動きだとも考えられます。
つまりCBDC発行権を確保したいFRBとの利害対立が発生することになります。
FRBの本音としてはCBDC発行権を確保するまでは、現在の米ドルを延命させたいということなのでしょう。
バイデン政権はCBDC推進派の中心人物を引き抜くことで、二の足を踏んでいるFRBに圧力をかけたいという狙いもありそうです。
WEFから圧力をかけられていますので、焦っているのでしょう。
ちなみにこの方はWEFのメンバーなので、デジタルドル導入を急がせるために選ばれたようです。
肝心のアメリカ議会ですが、ここになってSEC(証券取引委員会)による仮想通貨の規制が遅れていることを懸念する声も上がり始めています。
混乱している仮想通貨業界ですが、完全崩壊を待ってからCBDCを導入すれば人々は受け入れやすくなるとする意見の議員が多いようです。
もしかしたら破綻したFTX経由で多額の資金を受け取っている議員も多いことも関係しているのかもしれません。
いずれにしても仮想通貨の規制には時間がかかっており、これはCBDC発行をさらに遅らせるものとなります。
バイデン政権のこの動きは、アメリカ政府の予算の問題とも関係しているとも考えられています。
まだ債務上限の問題が解決していませんが、これは通貨発行元がFRBからアメリカ政府になれば問題になりません。
そして上昇する金利により膨れ上がる債務や減少している税収の問題等も、もしアメリカ政府が直接通貨発行権を握れば、問題は一気に解決します。
これまでは中央銀行は政府とは独立した機関である建前ですが、それを取り払って一体化したいということなのかもしれません。
これは例えで考えれば、アルコール中毒の人が毎回、酒屋に行って支払いをして酒を買うわけですが、お金がないのでつけで酒を買うわけです。
そしてそれでも足りないので、最後には強引に酒屋を乗っ取ってしまおうというのに似ています。
乗っ取った後に起こることは想像に難くありません。
これらはあくまでも状況証拠からの推測として考えられているものですが、いずれにしても待ったなしの状況なのに思うように進んでいない現実がこの人事に表れているようです。
すでに何度も語られていますが、CBDC導入により国民の監視と規制強化がなされることは既定路線ですが、それと同時にインフレが激化することになります。
日本では四月からパイロットプログラムを始めることが報道されていますが、我々はいかなる犠牲を払うとしても抵抗しなければなりません。
経済を破壊した後に"解決策"としてCBDCを提示するはずですが、受け入れてはいけません。この頃には貴金属も仮想通貨も買えなくなっていると思います。
昔、アブラハム リンカーンが述べたこの言葉は、正に真実だと思います。
「安全を得るために自由を犠牲にする人たちは、最終的には両方とも失うことになる。」
最後まで抵抗できるように、今できる限りの準備をすべきだと思います。