ロシアが金本位制を導入するという噂があちこちで流れています。
ロシア中銀は金1g=5000ルーブルで買い取るという方針を発表しています。
しかし今のレート換算では$52で、市場価格が$68であることを考えると安値での買取ということになります。
しかしこれには理由があります。この価格はロシア国内では普通よりも高い価格なのです。
というのは、今ロシアの金は国際市場で制裁を受けているので、価格が下落していることがこの買取価格の理由です。
ロシアで生産された金を国際市場で売買すると、ペナルティを受ける可能性があるためです。
ロシアが金保有量を増やすことを発表してから、一時は下落したルーブルは元の水準に戻しています。
これと同時に天然ガスと原油取引をルーブルで行うことをロシアは絶対条件としています。
天然ガスと原油が必要な国がルーブルでの取引を始めると、ルーブルは上昇します。
同時にロシア中央銀行は大量の金を買い入れるので、ルーブルの信頼性はさらに向上します。
ヨーロッパはすでにルーブルでの取引にかじを切り始めていますし、日本もそれに追随するようです。
つまりロシアが狙っているのはこういうことです。
1g=5000ルーブルで固定されています。今の水準では格安ですがルーブルがドルに対して上昇すると逆に割高になります。
現在のレートは85くらいで80まで上昇すると、ロシア国内の金価格は国際市場と同等になります。
金価格はロシア国内で価格が固定されていますので、ルーブルがドルに対し80を超えて上昇すると、国際市場との価格差が発生します。
これは価格差を利用してアービトラージをしようとする動きを引き起こし、国際市場で金を買ってルーブルに変えようとする動きが強まります。
結果としてロシア中央銀行の金保有量はさらに増えていき、世界中の金が一気にロシアに流れ込むことになります。
ロシアは金を売る必要はなく、ただ一方的に金を大量に買い続けることになります。
(実際には現物の移動ではなく、契約上の名義変更だと思われます)
ロシアがいつ金本位制を導入するのかという疑問に関しては、ロシア政府の発表にヒントがありそうです。
ロシアが発表している金の買い入れ期間は6月30日までで、この日まで価格は5000ルーブルで固定されています。
つまりこの日以降、ロシア政府が何かを計画していると考えるのは自然だと思われます。
恐らくこのころにただ金を保有しているというだけでなく、金を兌換できるようになると考えられています。
今のところは現状を分析した結果の推測にすぎませんが、ロシア政府が金との兌換を発表するとなると、その後に何が起こるのかは容易に想像できます。