興味深い進展があります。
コメックスとSFEの間の価格差が開いていることがよく話題になっていますが、今やシルバー世界大戦とも呼んでも良い事態になりつつあります。
アービトラージをする関係者のそれぞれの思惑が入り混じっています。
西側諸国との戦いに勝ちたいBRICSの仕掛けという側面もあれば、銀ショート勢の間での殺し合いという側面もあります。
そしてCBDC導入のために不要だと思われる破綻に追い込み、吸収合併するという思惑もありそうです。
これまでに複数回取り上げましたが、JPM、BofA(バンクオブアメリカ)、HSBCといった金融機関はコメックスでショートしています。
特に中国とインドが銀現物の買い占めをするにつれ、価格上昇圧力が強まっていますが、それを抑えるためのショートは増える一方です。
ショートしているのに価格上昇を抑えきれなければ、巨額の損失が発生します。
面白い進展というのは、中国での取引にJPM、グレンコア、ゴールドマンサックス(GS)し始めているという点です。
これまでは取引に参加していたのは中国の大手金融機関のみでした。
少し前に、SGFとSFEの両方で海外の金融機関による取引が許可するという変更が行われました。
つまりこれらの金融機関はコメックスではショートして、中国の取引市場ではロングしているということのようです。
アービトラージを利用して利益を出しつつもコメックスでヘッジすることが可能になります。中国政府は優遇税制をも導入することでもアービトラージを促進しています。
中国国内では現物のニーズが非常に強く、現物在庫が激減中です。中国政府は国民に対して、銀現物を買うことを勧め始めました。
中国国内で価格が上がれば上がるほど、コメックス/LBMAでは強力な価格操作をせざるを得なくなります。
結果として価格差が開けばアービトラージで利益を出そうとする金融機関が、より一層大量の現物を購入して中国国内に銀を輸入する結果となります。
ここでの問題は中国市場に参加せず、コメックスだけでショートだけを増やしまくっているしている金融機関はどこなのかという点です。
銀取引でBofAに巨額損失を発生させて破綻に追い込んだうえで、吸収合併する絵図をJPMは描いているのかもしれません。
BofAは中国とJPMに銀現物を献上した上で、破綻に追い込まれる運命なのかもしれません。
アメリカ政府はこの件を知っているのでしょうか? JPMに指示を与えてBofAを追い込もうとしている可能性もあります。
金融機関の間の血みどろの争い以外の事も関係しています。
中国で取引するということは、ドルをショートするということも意味します。
JPM、GS、グレンコアはコメックスで安い銀現物を買うわけですが、支払いは米ドルです。
そして買った現物を中国で高値で売るわけですが、受け取る支払代金は人民元です。
銀取引のアービトラージを巡り、基軸通貨の動向にも変化が見られることにも要注目です。
すでに米ドル取引を止めた中東原油産油国にも影響がありそうです。
人民元決済で原油を売っているサウジは、手に入れた人民元で金と銀の現物を手に入れることになります。
このように考えると、コメックスとSFEとの価格差は水面下で大変革を起こすほどの影響力があることがわかると思います。