海外で仕事と投資をしていてつくづく思うのが、「いい人」であることをやめないとやっていかれないということである。
日本で生まれ、日本文化の中で生活してきた私は、基本的には対立が苦手です。何か嫌なことがあっても、「まあ自分が少し我慢すれば、収まるのでは」と考えて黙っていることも多いものです。
しかし、海外に行くと何かトラブルがあっても、黙っていると、弱腰だと思われ、尊敬されないばかりか、付け込まれて利用されることになります。
海外に行くと、「いい人」でいることは美徳ではなく、外国人からすると「何を考えているのかわからない」あるいは「何も考えていない人」と映る可能性さえあります。空気を読んで自己主張しないという日本人の特性は捨てなければなりません。
例えば、よくあるのが黙っているから、勝手に大丈夫だと思われて、仕事を後回しにされたり、理不尽な要求を突き付けられたりすることになりかねません。
数年前にわたしが某国で不動産を売却した時のことです。決済時に支払った税金が申請をすれば還付することが分かり、申請したものの、税務署の担当官がいい加減でなかなかやってくれませんでした。何ヵ月も経っても還付がないので、私もさすがに腹が立ち、約束した期限がかなりすぎていて、今週中に還付がされないと来週以降、担当者と税務署を訴えると圧力をかけました。すると翌日、還付がされたということがありました。友人に聞いたところ、ずるずると引き延ばされて、結局払ってもらえなかった日本人がたくさんいるということを後から聞きました。
日本人は生涯を通じて、自己主張をしないように教育されていて、しかもアイデンティティが確立されていない人が多いので、流されやすいものです。ですから、海外ではとりあえず言ってみる、それでもだめなら演技でも構わないので、怒ってみるとかなりうまく進む場合が多いです。どう思われるか、主張の矛盾点を指摘されたらどうするかといった心配はする必要はないと思います。
今度、日本人であるという特性を生かして、外国人との交渉を有利に進める方法についても書きたいと思います。