今日はドルのハイパーインフレは急速に起こるという話です。
通常通貨は時間をかけて徐々に購買力を失っていき、最後にはハイパーインフレが起こります。
ただ米ドルの場合はすこし事情が違うという意見が主流のようです。
ドルの話はよく出ますが、厳密に考えるとドルには種類がいくつかあります。
一般的に言ってドルというとアメリカ国内で流通している通貨を指してドルと呼ぶ人が大半です。
あと最近は中東諸国がドルによる原油取引を止めることに関連して、ペトルダラーについても良く語られます。
ペトロダラーとはOPEC諸国と関連産油国が原油取引をドルで行うことを指して使われます。
別のドルはユーロダラーです。
アメリカ国外の金融機関とアメリカ金融機関の海外支店が保有するドルの事で、このドルはFRBの管轄外です。
かつてはヨーロッパで多く保有されていましたが、現在はケイマン諸島とバハマで保管されています。
ここで知っておきたいのは、海外で流通するドルの量はアメリカ国内の流通量よりも多額であるということです。
ここ最近ドル高が顕著になっていますが、ある要因が関係しています。
通貨危機に陥る国が増加するにつれて、自国の通貨安定のためにドルに頼る国が増えていることが最終的にはドルのハイパーインフレを引き起こすきっかけになるという見方が出でいます。
ここ最近だけでもエジプト、アルゼンチン、シリア、トルコと言った第三国では自国通貨のハイパーインフレが発生しています。
そこで何を行うかというと救済を求めて米ドルに頼っています。
本来であれば、金の現物に行きそうなものですがそうではありません。
IMFのデータによると、世界の中央銀行が保有している米ドルの総額は6.6兆ドルで、当然大量の現金と米国債が含まれています。
他の国の通貨と比べると、自国の通貨を守るためにどれくらい米ドルが使われているのかが分かります。
近い将来に起こると言われているのは、アメリカでの金融危機発生です。
発生するとFRBは利下げと7-8兆ドルの金融緩和を余儀なくされるという見方が浮上しており、そうなればドルの購買力は一気に減少します。
これは自国通貨防衛のために米ドルに依存している第三諸国に多大な影響を与え、ドル準備高を急いで処分することになります。
6.6兆ドルの多くが短期間のうちにアメリカ国内に還流することになります。
そしてこの動きは既に還流を始めているペトロダラーの動きを加速させるだけでなく、巨額のユーロダラーをも自国に向かわせることになるという訳です。
この仮定が正しいとすればアメリカ国内のハイパーインフレは文字通り一気に起こることになり、短期間の間に紙切れ化することになります。
そういう意味では金融危機の発生と公式の利下げには非常に重要な意味があることが分かります。
こうしたシナリオが最近、専門家の間で話し合われているようです。
まだ大丈夫だとタカをくくっていると、ハイパーインフレがいっきに襲い掛かるのかもしれません。
その時に世界各国が救いを求めるのは金と銀の現物ということになります。
専門家の間でも意見が分かれるところで、計算のもととなるデータによっても計算が異なります。
流通するドルが現物に流れ込むとき、銀1オンスの価格が$50,000になるという人も言えば、$200,000になるという人もいます。
いずれにしてもドルのハイパーインフレが起こる時には、ドルを基準とした貴金属の価格には意味がなくなっていることでしょう。