一つお知らせがあります。
こちらで告知した品物ですが、若干余分に注文したので余裕があります。
もしご興味があれば、ご連絡いただければと思います。
ところでネット上では日本はどこまで行っても破綻しない説が幅を利かせているようです。(MMT理論)
そのほとんどがこの動画にあるような主張で、自国通貨を発行しているのでどこまでいっても破綻しないとするものです。
あまりにも近視眼的で一番大切なところを説明していないので、これについてまとめてみたいと思います。
確かにただ国債を無限に発行し、今やっているように買い手がいなければ買いオペをしまた債務を発行すればいいだけですから、帳簿上はどこまで行っても"破綻"はしないでしょう。
自国通貨を発行しているので破綻しないのであれば、そもそも政府は税金や年金を徴収する必要はないはずです。
日銀が金を刷るだけで、どこまで行っても破綻せず、日本人全員が豊かになれるのであればそんなにいいことはありません。
ではそれなのになぜ増税に次ぐ増税が行われるのでしょうか? この質問に対する回答はありません。
日本政府は破綻しない論者が説明しないのは、カンティロン効果と呼ばれる理論です。
カンティロンという名前の経済学者が提唱したものです。
説明としては、お皿の中央にはちみつを注ぎ続けた場合、はちみつはしばらくの間は中央部だけにとどまっていてお皿の末端に到達するまでには時間がかかるというものです。
もちろんこれは市場への通貨供給の話です。
市場に供給されるお金は、最終的には物の価格に反映されることになります。
例えば、トヨタが生産する車の量が変わらないのにマネーサプライが2倍になれば、時間をかけて車の値段は2倍になっていきます。
しかしお金の供給には順序とタイムラグがあり、そして受ける影響も人によって異なるというのがカンティロン効果です。
簡単に言うと金融緩和が行われる時、最初にお金受け取るごく一握りの人は利益を最大限に受けるものの、末端にいる大多数の一般人は全く恩恵を受けず、インフレの影響だけを感じるという話です。
最初にお金を受け取る人たちは、最も恩恵を受けたくさん消費するため物の価格は上がりますが、そのお金が末端全くに行き着くころには購買力がかなり減少しているという意味でもあります。
「どこまで金融緩和をしても日本政府は破綻しない」と主張する人たちは、政府が破綻しない代わりに国民生活が破綻するということを隠していることになります。
そしてこれは究極の格差社会を作り出すことになり、WEFが推奨する何も持ち物を持たない社会へ一直線ということになります。
現在日銀がやっている巨額の買いオペは、最終的には日本円のハイパーインフレという形で表れてきます。
政府にとっては債務の事実上の踏み倒しになりますが、国民にとっては奈落の底に突き落とされることになります。
つまり「日本は絶対に破綻しない理論」はただのプロパガンダということになります。
カンティロン理論によると、過剰な通貨供給には見過ごすことができない副作用があります。
最初にお金を受け取るグループの人たちは、お金をもらった直後は物の価格は上がらないのでいい思いをしていますが、次第に物の価格が高騰してくることが感じるようになります。
すると今度は価格が高い国内製品ではなく、海外の製品の輸入をするようになります。
結果として、国内の製造業が徐々に衰退をしていく結果となります。
大抵の場合、カンティロン効果の末端にいる人たちは衰退していく国内製造業の人である場合も多いものです。
大多数の一般人は失業したり収入が減少するだけでなく、インフレの影響をもろに受けることになるわけです。
国内の製造業が衰退して行くと、結果として国家としては貿易赤字が増えていくことになります。
物を輸出するよりも輸入する方が多くなり、輸入するために自国通貨を海外にばら撒いていくことになりますが、通貨の購買力が低下するにつれて輸入量が減少していきます。
つまり国内製造業が衰退したのにもかかわらず、通貨購買力が減少したので輸入も難しくなるという事態に突入すると言われています。
これは今のアメリカと日本で起こっている現象です。
そして通貨の購買力が極端に減少すると、輸入するために貴重な金やコモデティを売り渡す結果になり、これは国家の貧困化を推進するものとなります。
アメリカは今はこの状態に近いので、"バナナリパブリック"と呼ばれています。
ちなみにバナナリパブリックとは、輸出するものがバナナしかない貧しい国家を例えた名称の事です。
当たり前の話ですが、世の中にただのランチはないということですね。