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通貨が崩壊する時、あなたの負債はどうなるのか?

通貨が崩壊すると、負債はどうなるのかに関する意見は実に様々です。

もちろん負債と言っても種類があり、経済の崩壊にも段階があるでしょうからすべてが同じだということはできません。

 

どう考えても良くない負債の代表格はクレジットカードのローンです。

これは無担保ローンなので金利は最初から一番高く設定されており、しかも変動型です。

つまりインフレが進行すれば金利も一気に上昇します。つまりインフレと共に負債の額が増えていきます

アメリカ人は平均で$5000程度のカードローンを抱えており、33%が払い終えるのに2年間かかると考えています。

そしてアメリカ人の半数近くが金利のみを支払っているとのことで、元本はそのまま残っているようです。

公式のデータによる今のインフレ率は10%以下ですが、ハイパーインフレになればカードローンの金利が30%、50%、100%になるといった事態も想定されます。

ですからカードローンを含む変動金利の負債は是が非でも避けましょう。

 

これとは少し異なるのはオートローンや住宅ローンといった固定金利の負債です。

インフレが進むということは、通貨の価値が落ちることを意味します。とりもなおさずこれは負債が減ることも意味します。

インフレが進行し通貨の価値が落ちたとしても、残る債務の額は同じですから「理論上では」借りた人が得をすることを意味します。

 

例えば、投資用不動産購入による1億円ローンがあったとして、インフレが100%になれば負債の支払額は一年後には5000万円になってしまいます。

そしてインフレと共に給与も上がっていくはずだし不動産価格と家賃も上がるはずなので、今は多額だと感じる負債だとしても、インフレが進行すれば大した額ではなくなると考えるのです。

そしてインフレが最高潮に達して下のような状況になると、債務がいくらあったとしても大差がないと考えるわけです。

しかしこれはあくまでも理論上での話です。

 

今回の経済危機で同じことが起こるかどうかは分かりませんが、歴史を振り返るとある程度の洞察が得られます。

ワイマー共和国の例では、急激なインフレ抑制のために政府が家賃規制を法制化しました。

家賃として貰うマルクの価値がゼロになりつつあるのに家賃を上げられなくなった大家たちは、家賃を受け取ったとしても意味がなく賃貸不動産を処分するか失う結果となりました。

出費は増える一方なのに、貰う家賃では出費を支払うことすらままならなくなったためです。

結果として不動産はほぼ無価値になり、その一方で外国人や投機家たちは不動産を買いあさりました。

もしこの時にハイパーインフレで不動産価格と家賃も上がると考えた人がいたとすれば、一文無しになったことでしょう。

ただ最後まで住宅ローンを払い続けられた人たちは、得をするかに思われました。

インフレにより「不正な利益を得た」として、罰する動きがあったようです。

新通貨が発行に伴い、旧通貨の住宅ローンの改定が行われ額面の25%を新通貨で支払うようにとする法律が施行されました。

これは旧マルクの25,000,000,000倍相当の支払額でした。

逃げ切ることはできなかったわけです。

 

負債を負う前には法律を考えなければなりません。

例えば、日本とアメリカでは法律が異なります。アメリカでは基本ノンリコースなので、例えば住宅ローンの未払いが発生したとしても失うのは家だけです。

もちろん家を失うのは大事件ですが、日本ではもっと悪く本人はもちろん連帯保証人の家や給与まで差し押さえの対象になります。

ですから安易にインフレで債務がなくなるから、借りまくろうと考えるのは非常に危険だということになります。

 

そしてもう一つ考えるべきなのは、想定外の事態です。

上で書いたワイマー共和国のような、法律の突然の変化も可能性は十分にあります。

そして問題が無ければ払えていたローンであったとしても、別の問題の発生のために影響を受ける可能性があります。

例えば、不景気による失業や会社の倒産といった事態や、物件の入居者が家賃を払えないがゆえに大家もローンを払えなくなるということは普通に起こります。

不動産投資をする人はキャッシュフローさえ出でいれば問題ないという前提ですが、想定外の事態のためにこの前提が崩れる可能性を考えておくべきです。

過去のケースを振り返ると分かりますがインフレ局面では不動産は高騰します。しかしハイパーインフレ局面では反対に大暴落します。

インフレ局面で人々は資産を買いますが、ハイパーインフレでは人々は資産を処分し、食糧や必需品を買うようになります。

 

不動産販売業者はインフレのヘッジのために不動産は役立つと主張するはずで、ある意味正しいのですが100%ではありません。

というのは今の時代の不動産投資というのは、デリバティブをも含んでいるからです。

今は30倍とも50倍のレバレッジとも言われている巨額の不動産デリバティブがありますが、崩壊する時に何が起こるのかは誰にも分かりません。

ですから私の意見では負債は基本的にあまりない方が良いと思っています。

ただどうしてもそうできない事情の方もいらっしゃると思います。そういう方は可能な限り貴金属を買うことをお勧めいたします。

通貨が崩壊する時に貴金属は高騰しているはずなので、その時に貴金属を売ってローンを完済することができるはずです。(間違っていたらすみません。)

下のチャートはワイマー共和国のハイパーインフレ時の金価格です。

 

ですから誰かがあなたに「インフレで負債がなくなるからクレジットカードを使いまくっても構わない」とか「金を借りられるだけ借りた方が良い」と言うとしたら、そんなに単純なものではない、ということだけ覚えておくと良いと思います。

想定外のことが次々と起こる時代ですし、最終的には他人に頼らずに自己完結できる人が一番強いと思います。

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