CBDCに警鐘を鳴らす人は非常に多くいます。
警鐘の多くは警察国家の誕生に関するもので、国民のプライバシーが無くなるというものです。
確かにCBDCによりあなたが車にガソリンを入れたかどうか、石油ストーブを購入したかどうか、肉を食べたかどうか、政府抗議デモに寄付をしたかどうかといったデータを政府は即時に把握することになります。
CBDC=警察国家による完全統制になるというのは事実です。
もちろん政府は国民に自動車の所有を規制しないかもしれませんが、CBDCで給油することはできなくなります。
政府官僚がボタンを一つ押すだけで、あなたは締め出されてしまうわけです。
しかしCBDC導入は警察国家の始まりという以上のことを意味します。
国民の監視の次に来るのは、計画経済の始まりと同時に自由経済の完全な廃止が始まります。
政治家が予算の配分を完全に決めることになり、例えば住宅ローン、オートローン、学資ローンを出すかどうかは政府が決定をすることになります。
この他には事業に融資を出すかどうかも、政府と官僚の一存で決まることになり、最終的に企業は国有化されていくことになります。
これは過去にソ連で行われたゴスプランと呼ばれるものです。
ゴスプラン(5か年計画)とはトップダウン型の経済計画のことで、ソ連ではこれが理由で経済が大崩壊することになりました。
今世界中でバンクランが起こっていること、そしてこれが金融機関を追い込むことであることはすでに述べました。
それに対し中央銀行は巨大な印刷機を持っているわけで、通貨の価値が低下することはあっても帳簿上は破綻することはありません。
(通貨がゼロになれば事実上の破綻ではありますが、認めないはずです。)
今は中小の金融機関から大規模金融機関へと資金が流入していますが、この先は大規模金融機関でも金融不安が発生します。
そして最後にはカウンターパーティリスクがない中央銀行で銀行口座を開設する、つまりCBDCへの移行という流れを想定しているようです。
金融機関は中央銀行の"下請け"的な立ち位置での生き残りを交渉することになると考えられています。
この行きつく先はイノベーションの終わり、雇用創出の終わり、クレジットスコアの終わりを意味することになります。
預金すべては中央銀行に集まることになり、受け取るお金は政府が国民に配給することになります。(ベーシックインカム)
もしあなたが自分で工場を開こうとしたり酪農を始めようとすると、政府は「カーボンフットプリントの規制により許可できない」ということになります。
全ては国有化され、自由経済は消え去ります。
これがCBDCの行きつく先ですが、これをやった旧ソ連で何が起こったのかを知ることは役立ちます。
新たな技術革新は生まれず、人々は物不足とハイパーインフレで困窮することになり、国民生活は政府による完全統制で非常に窮屈なものとなりました。
真面目に働くかどうかに関わりなく給与がもらえるため勤務意欲は低下し、政府の経済計画は実体経済に合わないにもかかわらず強行されました。
例えば、赤い車を買いたい人が多く待っているにもかかわらず、政府計画では黒い車の生産が決まっているため赤い車は生産しないといったようなことが横行しました。
人々のニーズとはかけ離れた経済活動が強行されたため、物を手に入れるのに何年も待たされたり、スーパーの商品棚は空であることは珍しくありませんでした。
その反面、不要なものは有り余る結果となったわけです。
職場での盗みや賄賂は横行し、ブラックマーケットが巨大化することになりました。
そして店主は外貨を持つ人には商品を販売し、ルーブルを持つ人には販売しないといったことは当たり前で、店の入り口がロシア人用と外国人用と分けられることは良くありました。
もちろんロシア人の入り口には長い行列ができ、外国人用の入り口には誰も並ぶ人はいませんでした。
医療は無料でしたが、まともな治療を受けるためには賄賂が必須となりました。
トップダウンの経済計画というのは必ず失敗するものなので、これがCBDC導入の行きつく先です。
CBDC導入後の世界を知りたければ、ぜひ下の二つの動画を見ていただきたいと思います。
ロシアがカザール人が推進するグレートリセットに強硬に立ち向かっているのは、実体験としてどれだけひどいものなのかを知っているからなのだと思います。