通貨戦争はつまるところ金とコモデティをコントロールする側が勝利します。
数日前に興味深いニュースがありました。
スイスがロシアから金を大量に輸入していたという報道です。
スイス、5月にロシアから金輸入 ウクライナ侵攻後初=税関統計
この事件と関係しいると思われますが、直後にG7加盟国はロシアの金の輸入禁止を決めました。
「プーチン政権の資金源を断つ」G7でロシア産金の持込を禁止する制裁を発表
報道ではいかにもこれはロシアにとってマイナスであるかのように説明されていますが、事実はそうではありません。
これはロシア産の原油に禁輸と同じで、西側諸国にマイナスの影響を与えるものとなります。
というのは第三国を経由して、再度溶かしてしまえば産地は分からないからです。
そうでなくてもインドも中国も喜んで、ロシア産の金を買うはずです。
ただこの"経済制裁"による最大の結果と考えられているのは、ロシア中央銀行が輸出しなくなった分の金すべてを買い取ってしまうことです。
ロシアの本音は金を輸出せずに中銀で最大量を買い取りたいと思っており、それはドル覇権を終わらせるためのロシア政府の計画です。
要するに、G7はさらに金を保有する口実を与えただけということのようです。
突然、G7がこの動きに出たのは、ロシアの金が今の経済を崩壊させかねないと考えているからです。
すでにロシアの原油と天然ガスのせいで、西側諸国はハイパーインフレになりかかっているので、価格規制を行うことを決めたようです。
金価格の高騰を防ぎたい、そしてロシアがこれ以上の利益を上げることを止めたいと考えているのかもしれませんが、
やっていることは真逆で、ロシアの中銀が金保有高を急激に増やせば、ドルは終わります。
ちなみにロシアの金の産出量は世界第二位です。
これはロシアにとって実は好都合ということになり、結果としてG7はロシアの米ドル破壊計画の後押しをしたということになります。
元CIAのジム リッカードは、ペンタゴンの経済戦争のシュミレーションを主導したことについて著書の中で書いていますが、それによるとでロシアが金本位制を導入するということが米ドルの最大の脅威になることを書いています。
そしてこのシュミレーションによると、それを止める方法はないようです。
今回の動きについて、リッカードは「愚かさには終わりがない。バイデンはロシアが最大の金産出国で、それを使ってルーブルを強化し米ドル覇権を終わらせようとしていること知らないようだ」とツイートしています。
相手がここまでバカだと、プーチンは内心、バカにしているのかもしれません。
それにしても岸田総理もこの中の一人ですが、彼は日本経済も近々、ロシアの金に滅ぼされることなど知らないのでしょうね。