興味深い記事を見つけました。
「ロシアは金を保有することを肯定した、そして誰も気づいていない」という記事です。
これを掲載したのはMarket Watchというサイトですが、主流経済メディアの一つです。ここがこの記事を掲載したことには大きな意味があります。
Opinion: Russia just made a case for owning gold — and nobody noticed
内容はロシア議会のトップ、パベル ザバルニー氏はロシアに対する経済制裁について話し合った会合の中での発言です。
ロシアが原油と天然ガスを販売する時の支払い方法については「健全な通貨での支払いを要求すべきであり、それは我々にとっては金の事である。あるい都合の良い通貨を使用すべきである」と述べました。そしてザバルニー氏は支払い手段の一つとして、ビットコインの事も含めました。
この記事で注目されているのは、ロシア議会が「金を健全な通貨」として認めたということで、それは米ドルの事ではありません。
そしてザバルニー氏は米ドルはキャンディーの包み紙程度のものと呼び、支払い手段としてはあり得ないとも述べています。
経済に詳しい方ならば、ご存じだと思いますがニクソン大統領が金本位制を撤廃してから、金は通貨として世界中で通用しなくなりました。
そして特にアメリカ政府は金価格を押さえつけることによりドルの優位性を保とうとし、著名な経済学者たちはそろって金のことを「役に立たない黄色い石」と呼んできました。
それがここにきて大きく変わりつつあります。いえもう変わったのかもしれません。
ロシアが金を本物のお金だと認め、他国が金で原油とガスを買うようになれば、金はドルに代わる世界通貨になる可能性があるというわけです。
いま世界中に存在する金の時価総額は13兆ドルほどで、米ドルは37兆ドル程度です。(金の採掘量が増え、価格が上昇すればドルを超える?)
この記事の著者は金のことを信じているわけではないが、少しは持っていた方がいいと述べています。
金はSWIFTや他のいかなる銀行システムからの独立しており、仮想通貨が台頭してきた今でも世界中で最も広く受け入れられる通貨である、と述べています。
はっきりとは述べられてはいませんが、この記事の著者はロシアの本当の狙いは米ドルを崩壊させた後、金を基軸通貨にする狙いがあるのではないかと感じているようにも読み取れます。
ところでロシアが非友好国に対し、天然ガスをルーブルで支払うように求めていますが、G7加盟国は拒否しています。
それに対しロシアはガスの提供を止めると脅しています。期限は3/31です。
G7、天然ガスのルーブル決済要求拒否 ロシア「無料で供給せず」
ただどうやらこれに連動してルーブルがかなり買われているようで、指導者層の思惑とは裏腹にロシアからルーブル建てで買おうとする企業が続出しているようです。
しかし、よく考えてみるとロシア側は最初からルーブル建てでガスを買うようにという要求は、西側諸国から拒否されると知っているようにも思えます。
というのは、支払代金としてルーブル、金そしてビットコインの可能性を示唆しておきながら、公式にはルーブルでの支払いを求めているからです。
そのため巷では最終的には、金の支払いになるという見方が出始めています。
フランスのマクロン大統領は公式にルーブル払いは不可能だと述べましたが、読み方によってにはルーブルは無理だが金での支払いは可能であるとも読めます。
期限は3/31ですので、来月以降の進展には要注目です。