"予想に反して"、10月の全米の不動産販売数と価格が上昇したという報道がありました。
Home sales rose in October as investors rushed into the market
これは以前に書いた通り、ブラックロックをはじめとしたヘッジファンドが特定のエリアで集中的に不動産を買いまくっているからです。
株式だけでなく、不動産市場も操作しつつ、賃貸不動産として大量に買い上げる動きが加速しています。
しかし、もうそろそろアメリカの不動産バブルは弾けると思います。
そして、今回は単に弾けるというレベルを超えるレベルになると思います。
いくつかの理由があります。
まず不動産市場は持続不可能なくらいのバブルになっていること、これだけでも弾けるとかなりの下落になります。
これに加え、コロナによる経済へのダメージは回復不可能なレベルになっていることもあります。人々の債務の額は史上最高額となっています。
あとアメリカの政治家たちは、意図的に中流階級に不利な政策を作り、不動産を維持しにくい体制に持ち込んでいます。
最近聞いたところによると、CO2排出規制に関連して、住宅の気密性の基準を新たに設ける方向性の州もあるようで、これをされると中古不動産は基準をクリアするのが非常に難しく、かなりの不動産オーナーにとってはかなりの出費となります。
高値圏で買った投資家やレバレッジを効かせてている投資家は軒並みやられる可能性が高そうです。
そして、最大の理由は米ドルのライフスパンが最終の段階に入っているということもあります。
不動産価格と家賃の下落、そして維持費の高騰の3重苦にやられるわけです。
調べてみると、今回は大恐慌と呼ばれた1930年代の2倍から3倍の衝撃となりそうです。
私がいつも話を聞いているある不動産屋がいるのですが、彼は最近やけに弱気で今は不動産ではなく、貴金属を買えと話していました。
今の状況は不動産投資家に対する逆風が強すぎて、ある程度収まってからの方が良いというわけです。
不動産を売るはずの不動産屋がこれほど悲観的な見通しを語ることもなかなか珍しいです。
といっても、今からエクジットできる投資家はそう多くはなく、幸運を祈ることくらいしかできないのかもしれないと思わざるを得ませんでした。
過去数年の間に不動産バブルだからと言って、不動産投資に参入した人たちは、ほぼ全滅という結果になりそうです。
不動産の怖いところは、複数の物件を持っているとしても、レバレッジを効かせている人が多いため、1つがこけるとほかの物件まで波及していくということです。
半年くらい前までは、レバレッジを効かせている不動産投資家もまだかなり強気でしたが、ここにきてかなり追い込まれているのは間違いないです。
今年の冬を乗り切れない人も多いと思います。
これと関連していると思いますが、連邦政府から家賃補助という名目でアメリカの各州は巨額の資金提供を受け取っています。
しかし、その資金のほとんどは大家をサポートするためには使われていません。
カリフォルニア州とフロリダ州に関してはすでに報道されていますが、州が大量の不動産を購入しています。
恐らく大家を助けるのではなく、破綻するのを待ち、その資金で不動産を買うことを選択したものと思われます。
小規模投資家は次々と破綻に追い込まれ、ヘッジファンドと政府が買い上げるというトレンドは来年以降、さらに加速しそうです。
歴史的にみると、不動産買い時というのはそれほど長くはありません。
今回は少し長いかもしれませんが、通常は2-4年程度で、その後は上昇に転じる場合が多いようです。
不動産についていえば、富の移転が来年早々にも始まりそうです。