しばらく前に借金取り消しの話を書きました。
英語ではJubileeと呼ばれるもので、語源は聖書に由来します。
普通に考えるとあまり起こりそうにない話なのですが、よく調べてみるとそうも言ってられない気がしてきました。
最近は特に借金取り消しのことを持ち出すメディアや政治家が多く出できています。
例えば、このような感じです。
「借金帳消しはコロナウイルスとの戦いに必要なもの」
「借金帳消しは恐慌を避ける唯一の方法」
「早期の回復が欲しいのならば、借金を帳消しに」
「パンデミックの悪化のため、借金の支払い延期と帳消しは時間の問題に」
「ジョー バイデンは学資ローンの帳消しを求める」
ここで問題となるのは、誰がそれを肩代わりするのかということです。
過去に、アメリカでは1841年と1931年には呼び方は違いますが、同様の法律が施行されました。
その時は、一生懸命働いてきたアメリカ人の貯蓄と年金基金が借金帳消しの穴埋めとして、使われました。
近年、ほかの国でも借金の帳消しは行われました。
2013年にはアイスランドで、2015年にはクロアチアで行われました。
数週間前、IMFと世界銀行が共同声明を出し、76か国において債権者の債権の放棄を要求しました。
借金帳消しに向けた動きはすでに始まっています。
しかし、それがどのような形になるのか、日本ではどうなるのかはわかりません。
アメリカの政治家が借金、特に学資ローンの帳消しを求めるのには訳がありそうです。
こちらは有力政治家のツイート。学資ローンの帳消しにする必要があるという内容です。
どうして学資ローンの話が出で来るのかというと、国会議員の多くがいまだに学資ローンを抱えているからです。
アメリカの国会議員68人の平均の学資ローン残額は$37000で、そのうち8名のローン額は$100,000を超えているそうです。
恐らくこれが借金帳消しを求める理由の一つといえそうです。
いずれにしても、もしこれが起こるとすれば、少数の資産家のお金が大多数の人々の借金の穴埋めとして、取られるということに変わりはなさそうです。
投資家、年金生活者、債権者たちは大金を失う結果となります。
前回、アメリカで借金帳消しがなされたときに、アメリカ人が貯蓄した69%が没収される結果となりました。
今のところ、これが本当に起こるのかどうかはよくわかりません。
もしすべての債務が帳消しとなると、ドルは紙切れになり、基軸通貨からも外れる結果となり、世界経済は大混乱になります。
学資ローンだけであれば、影響は限定的かもしれません。
一見起こりそうにないことに思えますが、この話が繰り返しでできているので、可能性の一つして知っておくことは必要だと思います。
富裕層だけでなく、機関投資家がこぞって貴金属に投資し始めているのにはこういう理由がありそうですね。