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銀の価格操作が行われているのはなぜか?

銀というのは非常に重要な貴金属です。

金よりもはるかに重要ですが、今となっては良くあるただの工業用金属の一つとしかとらえられていません。

長年にわたる価格操作と、銀は重要ではないと思い込ませる巧みな洗脳により生み出されてきたものです。

価格が安すぎるため銀だけを採掘する鉱山は少なく、銅と亜鉛の副産物として回収されるのが主流です。

 

アメリカ債務時計を見ても分かりますが、銀の価格操作を行うデリバティブは金の3倍を優に超えています。

ペーパーと現物の比率は396:1に急上昇しており、銀価格を押さえつけるために巨額のデリバティブが使われていることが理解できます。

最終的には1枚のコインの所有権を巡り、396人が争いを繰り広げることになります。

 

ここでの疑問ですが、なぜ銀の価格を押さえつけるためにそこまでの努力がなされているのかというものです。

簡単な答えとしては、基軸通貨である米ドルの覇権を維持するためです。(他の通貨も同様です)

金と銀は正真正銘のお金であるわけですが、金銀価格が上昇すれば人々はドルを捨てて貴金属に殺到することになります。

通貨が偽物のお金であることを隠し続けるために、本物の存在を曖昧にし続ける努力が行われています。

一定期間続けているうちに、人々は紙の通貨が本物のお金だと思い込むようになるという訳です。

 

しかし価格操作には別に大きな理由があります。(ここで私が指摘する以外の理由もあると思います。)

軍隊に関係するものですが、以下にその例を挙げていきたいと思います。

 

1968年、米国防総省のNSA(国家安全保障局)は銀不足に対応するため、NSA銀回収プログラムと称した計画を開始し廃品から銀のリサイクルを始めました。

1968年6月25日、米財務省は戦略的貴金属備蓄法に基づき、保有する大量の銀をDLA(国防兵站局)に移管しました。

これはアメリカの防衛力を強化することが目的とされています。

United States Treasury Department Washington D.C. Transfer of Silver to DLA's Strategic and Critical Stockpiles

 

1972年のアメリカ地質学調査年鑑は、米国国防総省は890万オンスの銀を保有していると発表しました。

この時、地質学学会は初めて国防総省の銀保有量に言及しました。

Minerals yearbook: Metals, minerals, and fuels 1972. Year 1972, Volume 1 1972

1985年2月16日、米海軍海上戦闘センターは「"卓越した"新兵器の電力源には新たなバッテリー技術が必要となる。

より厳しい基準で製造されることに加え、現在バッテリーに使用されている原材料(銀、ジルコニウム、ニッケルなど)は違う材料に置き換えられる必要がある。

現在の使用状況が継続すれば、危機的な不足が発生することが予測されるためである」と述べています。

Naval Surface Warfare Center Electrochemistry Branch

 

1995年、アメリカ地質学調査年鑑は、米国防総省保有の銀の量は13000キロまで減少したと公表しました。

1996年には国防総省の保有量は"N/A"(該当なし)であるとしました。

U.S. Geological Survey Minerals Yearbook The Salient Silver Statistics

2002年、アメリカ地質学調査年鑑は国防備蓄の銀の量がゼロであると発表しました。この年以降、この項目は年鑑から削除されました。

 

2005年、米国入国管理局が設立したMGEという名前のダミー会社に、クリストファータッピンという名の人の関係者が接触しました。

はじめは調査機器購入を打診しましたが、後に無許可のまま兵器部品の輸出を依頼しました。

イランの顧客に対して販売するために、ホーク地対空ミサイルに使用する亜鉛酸化銀バッテリーを購入しようとしたところ逮捕されました。

アメリカ捜査当局によるとタッピンは、2005-2007年の間に車のバッテリー購入を装いつつ米国備蓄品であるイーグルピッチャー亜鉛酸化銀バッテリーを購入しようとしました。(National Stock Number: 1420-00-484-8556)

Christopher Tappin

 

2016年6月、米国会計検査院は米国議会に対して報告書を提出しました。このように書かれています。

「国防兵站局(DLA)高官からの報告によると、2015年関係年度以降に銀の需要は増大しているため、このプログラムは今後いつまでこの貴金属の供給を続けられるのか分からない

ここでのプログラムとは国防総省が実施している"銀廃棄物リサイクル調達プログラム"のことです。

United States Government Accountability Office Report to Congressional Committees DOD Electronic Waste

 

2021-2022年の国防総省予算案の中で、海軍ソノブイ(音響ソナー)調達予算があげられています。

DLS貴金属リカバリープログラムにおける銀枯渇のため、FY21という名の製品の価格が上昇したとしています。

FY21に使用するためのDLS供給の銀はないため、銀を市場価格の1オンス=$30で調達することとする、としています。

 

2023年の国防総省における翌年度予算に含まれている、海軍潜水艦音響戦闘システムに関する報告です。

MK3とMK4という名称の武器が不足しており、調達には銀が関係していることに言及しています。

そして、音響戦闘システム配備のためのコストには銀が最も大きな影響を与えるため、非常に重要であると指摘しています。

Department of Defense Fiscal Year 2024 Budget Estimates NAVY Submarine Acoustic Warfare System

 

2023年4月、ミサイルと宇宙開発に使用するバッテリー製造を手掛けるイーグルピッチャー社は、米国内での銀は極端に不足していること、そして他からの調達も在庫減少のために困難を極めていることを認めました。

銀の入手は非常に困難である。

在庫が非常に減少しているため、今後どれくらいの期間入手し続けられるのかは弊社が抱えている深刻な懸念である、と述べています。

 

長くなるのでいったんここで終わりにしたいと思いますが、なぜ銀の価格操作が行われているのかの理由を垣間見ることができます。

低価格を維持しつつ、現物を調達したいという米軍の思惑があります。

価格が高騰すると注目が集まり投機筋が入るようになります。

過去にはハント兄弟とウォーレンバフェットが銀市場を買い占めた時に、アメリカ政府は抹殺しようとしましたが、その理由も分かるはずです。

同時に銀不足は我々が想像する以上に深刻であることも分かります。

そう考えると、インドと中国が大量の銀現物を購入していることの影響も想像以上だということになりますし、先週イエレン財務長官が中国に太陽光パネルの生産をやめるようにとお願いした理由も分かります。

ウクライナ戦争で弾薬が不足していることの背景も理解できるはずです。

 

アメリカにおける銀の話には続きがあります。近々取り上げたいと思います。

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