BRICSの基軸通貨のリリース直前ということもあり、世界中の中央銀行は金のパニック買いを続けています。
データを取り始めてから最高の取引高であることが報じられていますが、当然の事態だと思います。
中国、ロシア、トルコなどは大量に購入しているわけですが、ハイパーインフレを経験しているトルコでは国民が金に殺到しています。
ECBですらも金を購入しています。
これから世界中のあちこちで、事態に気付いた人々が金に殺到する時はあと少しで来ると思います。
中国に至っては公表している以上の金を購入しているらしく、アフリカの鉱山で違法操業をしている"ブラックゴールド"なるものを大量に購入しているという話もあります。
Central bank gold buying hits H1 record, says WGC
BRICS基軸通貨が"金本位制"になるのと、加盟希望国が急増していることは大きな要因で、金本位制通貨を使用するためには自国で大量の金がなければならないという理論になります。
BRICSが米ドルのハイパーインフレを引き起こすのはほぼ確実なので、金の現物が必要なのも当然です。
ある興味深い話があります。
第二次世界大戦の結果、経済的に困窮したヨーロッパ諸国はアメリカから支援を受ける代わりに、金現物を預け入れていました。
まずはフランスがアメリカに預けていた金全てを自国に持ち帰ったのですが、それを知ったドイツも同じ申し入れを行いました。
フランス政府もドイツ政府も何かを感じたのでしょう。
これは2013年の話になりますが、この申し入れに対し、FRBは「金は本国に送還するが、それには7年間かかる」というのが回答でした。
預け入れられている金には刻印がなされており、特定のバーがドイツ政府の所有物として保管されているいるはずなのに、なぜ送還に7年間もかかるのか、いぶかしく感じたドイツ政府は代表団を派遣します。
これに先立ちドイツはイギリスに預け入れていた金も持ち帰りましたが、待たされることはありませんでした。
そしてFRBとの話し合いの内容は非公開となり、双方とも情報を漏らすことはありませんでした。
その後2017年に予定より早く、金がドイツに返却されたとする報道がなされました。
恐らくこういうことでしょう。
理由は分かりませんが、預け入れられた金はなくなっていた。
それでFRBが新たに購入して返すことに合意したものの、一気に大量の金を購入すると金相場が上がってしまうため少しずつ購入し、5年ほどですべてを購入し返還したということのようです。
そして当然FRBに金現物はないということでもあります。
Germany has got its gold back — They must know something we don't
ちなみに日本はというと、今年の6月の時点で846トン保有していることになっています。(表向きは)
2020年の報道によると、その時点では730トン保有していることになっており、保管場所はニューヨークのFRBだとしています。
皆さんは、日銀がFRBに預け入れた金が本当にまだあると思われますか?
そして世界中が金に殺到する時に、日銀は金を日本に戻すことができると思われますか?
世界経済が大崩壊し、日本円がハイパーインフレを起こす時に、頼りの綱となる金現物は入手できないということになるのだと思います。
今年の後半には人々が貴金属に殺到するはずです。
今は中央銀行がパニック買いをしていますが、それは一般の人々にも広がっていくはずです。
建物が火事になったことに気付いた人たちが、一気に出口に殺到するように、だれもが貴金属を入手しようとするはずです。
その時こそ貴金属を違う資産に変える最高のタイミングとなります。
ですから売るのがもったいないなどど考えて、売り時を逃さないようにしたいものです。