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BRICS基軸通貨は大成功するのか?

BRICSの会議が8月に南アフリカで開催されます。

 

そして今BRICSへの加盟が続々と行われていますが、動機は米ドルに代わる基軸通貨が欲しいというものです。

いつ経済制裁の対象になるか分からない国家にとって、米ドルを捨てることは最優先課題です。

特にロシアが外国為替を凍結没収されたことを目撃した各国は、米ドルを取引通貨とすることのリスクを肌で感じています。

アメリカに関していえば、基軸通貨という立場を利用して、経済的な恩恵を得てきました。

米ドルを発行するだけで、世界中からベンツやソニーといった商品がどんどんと送られて、アメリカ人の生活水準を押し上げてきました。

しかし今度は反対の事が起こります。海外に還流したドルがアメリカ国内に戻ることになります。

実際のところどれくらいの額の米ドルが発行され、海外に送られたのかは誰も知りません。それくらい多いということです。

 

BRICS加盟国が一気に米ドルを捨てるわけですが、その時にドルを引き受ける国はアメリカしかありません。すべてのドルがアメリカに集中することになります。

ドルを捨てると言ってもただ捨てるわけではなく、アメリカ国内の何らかの現物を入手することになります。

結果としてアメリカ国内ではハイパーインフレが発生すると言われています。

別の側面ですがBRICSは、加盟国が増え続ける中で基軸通貨をリリースして、金本位制にすると言い続けるだけで米ドルを破壊できます。

金価格が高騰すると、巨額の負債とデリバティブを抱えている西側の金融システムは自滅することになります。

いずれにしても米ドルに勝ち目はありません。

 

しかしBRICSの通貨が成功するかというと、それはまた別の問題だと思います。

BRICSの基軸通貨は金本位制と言われていますが、あくまでも"金本位制"だという主張であり、金を支払い手段とするわけではありません。

本当に金本位制であるのであれば、金と銀をお金としてもよさそうなものです。

ただ金と銀をお金にしてしまうと国家内の力のベースが国民に移ることになり、政治家と中央銀行は力を一気に失う結果になります。

そして加盟国すべては今の負債をベースとする通貨システムを採用しているので、国家の基盤が揺らぐことになりかねません。

 

重要な問題として、BRICSの問題は金本位制の金をだれが管理するのかという点があります。

例えば、BRICS加盟国は通貨を発行するために中国に自国の金を保管したいと思うでしょうか?  恐らくそうはならないでしょう。

反対に加盟国がそれぞれ金によって裏付けられている通貨を発行したところで、加盟国は信頼するのでしょうか?

解決策は金本位制通貨ではなく金を支払い手段とすることですが、その合意は困難でしょう。

 

別の点ですが、BRICSの通貨は国際取引のための支払い手段と位置付けられていて、ユーロのように加盟国間で誰もが使用できる通貨にはならないようです。

立ち位置としてはIMFのSDRのようなもので、国際取引のみに使用は限定される見通しで加盟国の国民が使用する見込みはなさそうです。

加盟国すべてが自国通貨を捨てて、新通貨の使用に踏み切らない限りユーロを超えるのは難しそうです。

すでに大失敗しているSDRの焼き直し感が否定できません。

 

もう一つ懸念すべきなのは、世界中の様々な国家がBRICSに加盟申請をしているということです。

ユーロの場合は、すべてがヨーロッパで人種的にも文化的にも近い国家で構成されていましたが、BRICSはそうではありません。

人種的文化的な違いが軋轢の原因になると思われますし、加盟国間の不均衡も問題の原因になりそうです。

すでにインドとロシアの間で問題が起こったようで、インドは通貨には参画しないことを表明しています。

 

BRICS加盟国は米ドルを破壊するという点では、利害が一致しているようですが、次なる計画に関しては不協和音がすでに起こっています。

高い確率で米ドルを破壊することには成功すると思いますが、このまま大きな変化がなければBRICS通貨は空中分解するのではないかと思います。

まだ正式な発表が何もないので分かりませんが、方向性を大きく変えて金の現物を支払い手段として採用するか、ブロックチェーンで金現物の移動を管理することが必要だと思われます。

ということで、金融の歴史を書き換える出来事になることは間違いありませんが、我々としては引き続き金と銀の現物を買い続けるべきだと思います。

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