いわゆる経済専門家の間でもよく議論がなされるのは、「デフレ」とはいったい何なのかということです。
言葉の定義を変えることで大衆の印象操作をしようとする動きは激しくなっていますし、言葉の定義がはっきりしないと議論そのものが無駄になります。
オーストリア経済学の定義によるとデフレとはマネーサプライが減少することを意味し、反対にインフレとはマネーサプライが増えることを意味します。
値段の上下というのは、マネーサプライを増やしたり減らしたりすることによって生じる影響の一つに過ぎないというのが正確な理解になります。
ですから「値段が上がったからインフレだ」とか「下がったからデフレだというのは」理解がやや間違っています。
中央銀行が金融引き締めをすること=デフレということになります。(反対意見もたくさんあることは重々承知しています。)
このことを知りながら意図的に理解を歪めようとする動きもあります。
最近、フォーブスは「デフレとは何か? 経済にとって悪いのはなぜか?」という記事を掲載しました。
この記事によると、「デフレとは物価が下落していることを指しており、通貨の購買力が上がることを意味する」と定義しています。
あとこんな定義をする人もいます。
言葉の定義を変えてしまうと、話していることの意味が全く通じなくなります。
日銀総裁は「デフレ脱却をするために」金融緩和を粘り強く続けると宣言していますが、デフレ=金融引き締めであるとすれば言っていることは意味不明です。
というのは日本ではデフレはまったく存在せず、マネーサプライは増える一方だからです。
そしてもしデフレが存在しないとすれば、金融緩和を継続する理由は全く違うところにあることになります。
これはFRBも同じことで、本当にインフレを抑え込みたければ利上げする必要はありません。
信用創造をやめれば、マネーサプライは一気に減少することになります。
ということで中央銀行の主張するインフレとデフレの議論に騙されると、大事に論点から注意が逸らされることになります。
下のチャートは金と日本円の比較ですが、日本円の購買力はただ下がりです。
「粘り強く」金融緩和などど言っている間に、急速に貯蓄は奪われ年金は目減りしていることを気付くべきだと思います。
違う話になりますが、アメリカでは債務引き上げ以降、財務省はたったの2週間で約1兆ドルものお金を使いました。
現在のアメリカ政府の債務が32兆ドルなので、ものすごいスビートで債務を増やしていることが分かります。
そして肝心の巨額の国債購入資金源ですが、リバースレポではなく銀行預金が中心です。
ゼロヘッジによると、1週間で80億ドルが金融機関から流出しています。これにより更なる金融機関の破綻は不可避です。
財務省は金融機関の破壊を急いでいるようです。