ワイマー共和国で起こったことを調べると、いろいろと参考になる点があります。
もちろん全く同じことが今回の経済危機でも起こるとは思いませんが、同様のパターンは見られると思います。
今回はワイマー共和国で起こったのと同様の事が、一つの国ではなく世界中のあちこちで起こると考えられています。
まずは経済危機のヘッジとしての貴金属についてです。
ハイパーインフレの時に紙やデジタルの通貨は購買力を急速に失っていきますが、金と銀は変わらないばかりか、購買力が増すことは多くの人に知られています。
通貨崩壊が起こる時には、経済全体が大混乱するので、通貨によって支えられている市場は大暴落します。
多くの人は金と銀は一気に上がり続けると考えがちですが、実はそうではないようです。
下はワイマー共和国のハイパーインフレ時の金価格のチャートです。
大暴騰と大暴落を繰り返しながら、上昇を続けていきました。
赤線は金価格のボラティリティを表しています。
当時金をホールドしていた人たちは、大暴落ですべてを失ったかのように思えた後に、大暴騰し今度は数倍の利益を手にしたということです。
これは恐らく経済危機の最中、金融機関等が破綻に追い込まれると、資産整理のために保有している金を大量に売りさばくという事象が発生したのかもしれません。
あるいは通貨のボラティリティが激しかったため金価格が影響を受けた可能性もあります。
他にも可能性はありますが、異常なボラティリティが発生しました。
何が言いたいかというと、経済危機が本格化してくると大暴落の局面を経験するということです。
その時には焦って貴金属を処分してはいけないということです。
焦って売るとその後の大暴騰で後悔することになります。
ボラティリティを気にせず、最後の方まで持ち続けた人は良い思いをできたということになります。
同時に貴金属を違う資産に換えるのにも、タイミングを見計らう必要があるということのようです。
ハイパーインフレの時には株式が上昇すると考える人がいます。
ワイマー共和国の時には、確かに株式は上昇しました。しかし注意点があるようです。
株式は上がるには上がりましたが、当時の米ドルをベースとして考えると、生活費の上昇速度と通貨購買力の下落速度は株式をはるかに上回るスピードであったため、実質的に株式に投資した人は損をしました。
ですから株式はハイパーインフレのヘッジになると考える人は、比較する基準を間違えている可能性が高そうです。
上のチャートはドルベースの物ですが、金をベースとすると違うデータが出できます。
ドイツの金マルクスコインと比較ですが、1913年から1922年の間に84%を失った計算になります。
ということで、インフレヘッジのためには株式よりも金の方がはるかに優れているという結論のようです。
今は状況は不透明ですが、もしアメリカ議会が債務上限を引き上げることになると、今度は上限がありません。
バイデン政権の方向性からすると、通貨を完全破壊するためにハイパーインフレを引き起こす可能性がありそうです。