ファーストリパブリック銀行の買収は終わりましたが、問題はまだまだ続きます。
昨晩は複数の地銀の株価が暴落し、飛び火は止まる気配がありません。
そして今週はFOMCがあり、さらに0.25%の利上げ予定です。
恐らくですが、今回の利上げで米財務省はFRBはインフレとの闘いに対する"勝利宣言"をするものと考えられています。
政府が発表する嘘のインフレ率と金利差がなくなったことにより、"勝利宣言"ですが、問題はインフレではなく利上げによりデリバティブが崩壊していることです。
すでに過去の記事で金利上昇と米ドル建てのデリバティブのリスクについては取り上げています。
そして別の金利問題が浮上しています。これはあまり触れられていませんが、シナリオの一部だと思われます。
私は専門家ではないので認識が間違っている点もあるとは思いますが、知っている範囲で書きたいと思います。
今年の6/30までに、すべての金融商品の金利がLIBORというシステムからSOFRと呼ばれるシステムに切り替えられます。
我々が使用しているローンから国債に至るまで、金利はすべてLIBORにより計算されていましたが、現在SOFRヘの切り替えが急速に進んでいるわけです。
LIBORとかSOFRとか言われても、知らない人がほとんどですし専門家でも良く分かっていないのではないかと思います。(私を含めての話です。)
システムの切り替えが行われると何が起こるのかについて、ブルームバーグには説明が書かれています。
非常に難解に小難しい説明で書かれていますが、簡単に言うとこういうことです。
これまではデリバティブは大半が固定金利でしたが、突然米国債のレポ金利つまり変動型に切り替わるということです。
財務省の説明でも、レポ金利に基づいていると説明されています。
レポというのは金融機関間で行う貸し借りのことで、国債を担保にして行う超短期の融資のことです。
例えば金融機関Aに現金が足りない場合、保有している米国債を担保にするからとして金融機関Bから一晩だけお金を借りるというシステムのことです。
しかしここには非常に大きな問題があります。
昨日、破綻したファーストリパブリック銀行の資料の中に説明があり、レポ金利急騰がおこると、SOFR金利に悪影響が及ぶと説明されています。
金融機関が担保を出すといっても、金融機関が米国債を信用しない場合に高金利を要求するという現象が起こるわけです。
近年では2019年の9月に金融不安のため、レポ金利が突然10%まで急騰したという事件がありました。
なぜ今このタイミングでこれが非常に重要であるかというと、今アメリカ政府がデフォルトするかどうかの瀬戸際だからです。
そして債権市場はデフォルトを織り込んでいます。
仮にアメリカ政府がデフォルトするとなると、それが一時的なデフォルトであったとしてもレポ金利は急騰することになります。
これまでに低金利の固定金利で膨れに膨れ上がったデリバティブが、突然高金利になると巨額の損失が一晩のうちに発生することになります。
つまり世界中の金融システムが完全に破壊されることになります。
今はまだ破綻した金融機関をJPモルガンが買収しているので、安心している人も多いと思います。
しかしJPモルガンは50兆ドルのデリバティブを保有しており、アメリカ政府のデフォルトと共に一気に吹き飛ぶことになると思います。
SOFRに関しては取り上げている人がほとんどいませんが、かなり重要な問題でアメリカ政府の債務上限問題と直結していますので、要注目です。