特に最近になって世の中がまずいことになっているとようやく気付いて、質問をしてこられる方がいらっしゃいます。
中には金と銀を買うのは投資だと思っている方がいらっしゃいます。
私の単なる意見なので別に聞きたくなければ聞く必要はありませんが、銀の現物を買うことは投資ですらないと思います。
まずは大前提として金と銀の現物は破綻も破産もしません。
仮に世界が明日吹き飛んだとしても、あなたの手元にある金と銀の現物はそのまま残ります。それ自体にリスクはありません。
それに対して会社は倒産し、国家は滅亡するものです。
金と銀の現物は、株式やファンドといったものととは性質が完全に異なります。
そもそもの言葉の定義になりますが、投資というのは資本を投入して利益を得ようとする行為のことです。
しかし金や銀の現物を買っても配当は出ませんし、金利も付きません。というのは金融のシステム上、配当が出る=債務であるからです。
よく言われますが、我々が手にしている通貨もお金ではなく国家に対する借用証書に過ぎません。金利が付くことがその証拠です。
最近はBRICS諸国を中心に金本位制導入に向かう動きが進んでいるので、ドルや円ではなくBRICSの通貨に換えればよいのではないかという意見もあります。
ロシアも中国も大量の金現物を購入していることが相次いで報道されていますが、現在のところ最も肝心な点には到達していないように思われます。
それは金と兌換可能かどうかという点です。
もちろん大量の金を保有していることは、国家としての信頼性の証になります。
しかし国家が発行する通貨を金と兌換できないのであれば、正確な意味では金本位制とは言えません。
100年以上前になりますが、アメリカではドル札に、"金あるいは銀引換証"と書かれており、銀行にもっていけば本物の金や銀と兌換することができました。
そのためドル=金あるいは銀だと考えられ、信頼性があったわけです。
しかしご存じのように時間の経過とともに、金銀本位制は無くなり、いつの間にか現物はないのに大量の"引換証"だけを印刷することになり現在に至るわけです。
今人々が"お金"だと思っているものは、政府が発行している単なる借用証書です。
そして政府には支払い能力がないと人々が理解する時に、通貨は価値を一気に失うことになります。
金と銀の現物を買うということは、借用書を本物のお金に換える行為であり投資ですらありません。
以前にも紹介しましたが、下はJPモルガンが述べた言葉です。
"金はお金である。しかしそれ以外のものすべては借金である"
そしてここには銀も含まれるべきだと思います。
もう少しすると資産の価値を計るのに、どれくらい円やドルをもっているかではなく、何オンスの金と銀を持っているかが重要になると思います。
これは歴史上、何度も何度も繰り返されてきたことが、現在再び起こっているにすぎません。