少し前に銀不足が深刻だとするロイターの記事を取り上げました。
Silver heads for biggest deficit in decades, Silver Institute says
私は銀は今世紀最大の投資対象になりうると思っていますが、その理由はいくつもあります。
最近、銀を買い始めてまだ半信半疑の人も多いかもしれませんので、情報として載せたいと思います。
まず銀のマーケットというのは非常に小さいという特徴があります。
今の価格で200億ドル程度で、スターバックスの時価総額が1120億ドルなので、その5分の1以下ということになります。
そして特徴ですが、銀の鉱山というのは非常に少なく、そこからの産出量は20億ドル程度しかありません。
産出量の90%近くが銅や亜鉛鉱山の副産物として産出されるという特徴も、今後の価格動向と供給に影響を与えます。
例えば、銀が必要だからとしてアップルが世界中の銀と銀鉱山すべてを買い取るといったことが簡単にできてしまう価格と規模であるということです。
試算によると、アップルの余剰資金の半分ほどですべてを買い取れてしまう規模だそうです。
ちなみに銀を大量に必要とするのはアップルだけではありません。電気自動車メーカーも太陽光メーカーも家電メーカーも大量に銀を必要としています。
多額の資金が流入すると、一気に大暴騰する規模の市場であるということです。
下の表は今の価格で銀鉱山会社に利益を示すものですが、ほとんどの会社は赤字となっています。
デリバティブによる価格操作が原因ですが、今の水準では採掘そのものが難しいわけです。
銀鉱山の一株当たりの赤字額を示すもので、この価格ではそもそも採掘を続けていくことができない状態にあります。
そのため複数の銀鉱山会社は現物の販売をやめて、自社で現物を保管することを決めています。
そして鉱山は燃料を大量に消費する業態なので、エネルギー危機で採掘コストはさらに上昇すると見込まれています。
今の価格が続くと銀鉱山は廃業に追い込まれ、結果として現物不足が悪化する結果になります。
ちなみに少し前の採掘の平均コストは、1オンス=$19.33です。
今はだいぶ上がってしまいましたが、1オンス=$20前後で買われた方というのは、言い換えれば原価で現物を手に入れたことになります。
そして価格はこれ以上はどうやっても、これ以上は下がらないということでもあります。
これは投資する側としては大きな安心材料でもあります。
こちらはヨーロッパのエネルギー価格高騰のグラフで、重機に頼る採掘業はエネルギー価格上昇に直撃を受けます。
銀は他の金属の鉱山副産物ですが、主な金属のニースが減少すると銀も産出されなくなるという問題があります。
つまり銀は足りないのですが、他の金属の採掘がなされないために結果として銀も産出されないという状況になります。
例えば、銅の鉱山は不動産市場の影響を多く受けます。
住宅建設が止まる結果としてどうの消費量が減少すれば、結果として銀の供給量も減る結果となります。
これは鉄も同じで、住宅建設と自動車の生産数が減れば、結果として銀不足に拍車がかかります。
工業用のニーズが増えているのに加え、本物のお金としてのニーズが増え続けている中、産出量は下落傾向にあるわけです。
いつまでこの低価格水準が続くのかは分かりませんが、そうは長くはないと思います。
銀は経済危機が発生すると需要は増えるのに、供給は減少するという特徴があります。
そしていまはここに工業用ニーズの増加という要素が加わっています。
これまでの過剰なまでの価格操作と金融緩和、そして前代未聞の経済危機という状況が加わると、銀価格に何が起こるのかは誰にも分かりません。
価格操作が抑えきれなくなると一気に大爆発ということになりそうです。
コメックスの現物不足の話はかねてから書いていますが、最近、コメックスの在庫すべては実は米国鋳造所すべて買い占めていたという噂があります。
同時にイーグルコインの鋳造を「年末のホリデーシーズン」ということで、停止してしまいました。
噂が正しければ、新しい金融システムのためにイーグルコインを大量に鋳造しているものの、市場に出さない方向性のようです。
そしてバンクオブアメリカの3億オンスの現物をクライアントに納品しなければなりません。
銀が足りないというのは当たり前の話で、現物がないのにペーパーを売りまくった結果が今巡りに巡ってきているわけです。
銀価格は数百ドルを一気に突破して、数千ドルに到達する可能性も十分あると思います。
銀を巡るゲームは今月末までに佳境に入ると思います。
少し高いですが、アメリカンイーグルコイン(タイプ2)を少し買っておくと良いかもしれませんね。