先日、ユーロダラーの専門家の話を聞きました。
少し前にこの記事について、触れましたがどうやらこれにはどうやら話の続きがありそうです。
スイス中銀、FRBの通貨スワップ枠から多額の引き出し 2週連続
ほとんどの専門家はクレディの救済だったのだろうと述べています。そしてそれは当たっていますが、話はそれだけではないようです。
しかしそもそもなぜ金融機関がスイス中銀に資金供給を求めたのか、という点が大切なようです。
スイス中銀はドル供給の中心的な銀行となっていて、スイスだけでなく世界中の金融機関が供給を受ける可能性があるとのこと。
そもそもなぜスイス中銀に依頼するのか、というのが大切な点だそうです。通常金融機関はレポと呼ばれる銀行間の貸し借りで資金調達をします。
これは銀行間の短期融資のことで、大抵は一日だけの貸し借りです。
つまりレポ取引ができない=貸し手側の銀行は相手の金融機関の経営状況が不安なので、一日でも貸したくないということです。
そして資金内に陥った金融機関はレポで資金調達ができないため、最後の砦としてスイス中銀に行くわけです。
スイス中銀のドル供給額が増えるということは、どれだけの金融機関が破綻の危機にあるのかを見る指標になるというわけです。
(入札した金融機関名は非開示です。)
先々週は31億ドル、そして先週は15の金融機関に対して62億ドルの貸し出しがあり、今週もこの額が増えるのかに注目が集まっていました。
そして今週、スイス中銀からドル供給を受けた金融機関は17で、111億ドルと大幅増のようです。
つまり水面下で金融危機が急速に進行していることになります。
Swiss Banks Seek Most Dollars Since 2008 in Bid for Easy Profit
17の金融機関のがどこなのかというのは分かりませんが、それらしい銀行がいくつもあります。
直接スイス中銀に行くと噂が広がるため、提携関係にある銀行でスイスに支店がある金融機関経由で資金提供を受ける可能性もあるので、融資を受けた金融機関の正確な数は不明で、17を大幅に上回る可能性があるとのこと。
ここ数日ゴールドマンサックスが人員削減をした上で、部門の再構築をすることが報道されています。
Goldman Sachs Restructures Its Divisions, Elevating Tech Offerings as Profit Falls
そしてモルガンスタンレーも資本強化を始めたことが報道されています。
Credit Suisse taps RBC, Morgan Stanley for capital increase -Bloomberg News
額にして111億ドルなので大した額ではないと思われる方もいらっしゃるでしょう。
しかし少し考えれば分かりますが、ヨーロッパの銀行は準備金の規定がほとんどありません。つまり預金者のお金すべてをデリバティブにつぎ込んだり、融資に回したりすることができます。
つまり銀行がそうしたいと思えば信用創造のシステムで、いくらでも望むだけの額のドルを創出することが可能です。やりたい放題のことができます。
問題はドルがないのではなく、金融機関同士の間の信用がないので貸したくないのです。
2週間後に破綻するかもしれない金融機関に対して、融資すれば飛び火することが分かっているからです。
これは例えば、お金がたくさんあったとしても一文無しで借金だらけの友人から「明日返すから1000円貸して」、と言われたら貸すのを迷ってしまうのと同じようなものです。
メティアは相も変わらず、来年に景気後退に入るかどうかの議論を続けたり、景気は好調だと言い続けています。
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映画のタイタニックを見た方は覚えているかもしれませんが、沈没の寸前まで乗客を落ち着かせるために、音楽の演奏が行われていました。
今はこのような状況ですね。