貴金属の世界には、リースというシステムが存在します。
いったいどんな目的で貸し出すのかという疑問があると思います。
例えば、銀のETFで100%現物の裏打ちされているという触れ込みで販売されている商品があるとしましょう。
投資家は現物がどこかの保管庫に入れられているのだろうと、勝手に想像するものだと思います。
もちろん、現物を本当に保管している場合もあるとは思いますが、他から借りてきた銀を裏付けとして使用している場合もあります。
どういうことかというと、例えばロンドンで大量の銀を保有している会社があるとして、その銀の名義を"借りる"わけです。
借りると言っても、借りるのは名義だけで、現物はそのまま同じ保管庫から移動しません。
言い換えれば、投資家が現物を要求しない限り、このシステムの弱点は露呈しないわけです。
コメックスでは明らかにこのシステムが採用されているのは間違いなく、ですから1OZのゴールドとシルバーに数百人のオーナーがいると言われています。
Gold and Silver Leasing Explained
これは関係する点ですが、貴金属の契約書をよく読むと「消費寄託」という言葉が出で来ると思います。
どうやらオーストラリアでの問題は、詐欺的な要素がかなりあったようですが、契約自体も消費寄託であったようです。
これについての説明は下のリンクをご覧いただければと思いますが、このように書かれています。
「消費寄託は「購入した金の所有権が運営会社に移転し、その金を運営会社が運用できる」という契約形態になりますが、契約者は預けた金の返還請求をいつでも行うことができます。運営会社は責任を持って預かった金を保管しますが、運用することが可能なことから金の保管料は無料の運営会社が多く、契約者はコスト(出費)を抑えることができます。
しかし、金の所有権はあくまで運営会社に帰属するため、仮に運営会社が倒産した場合には預けていた金が戻らないリスクがあります。このことから、運営会社を選択する際は、信用ある安全で安心な運営会社を選ぶことが重要です。」
→ つまり、お金を払って投資しても、所有権は得られないということです。あと、現物が手に入らない可能性があるかもしれません。
:
購入した金はどのように保管されるのか?消費寄託と混蔵寄託の違いについて
私が知る限り、本当に現物を持っているETFは一つしかありません。
それはこちらです。
最近は、違いに気づいた投資家が殺到しているようです。
現物に投資したつもりでいたのに、現物が手に入らないという事態を避けたい人は、このリスクに要注意ですね。