アメリカの宅地投資スキームのセミナーがあるという話をお聞きしました。
投資金額も低いし、お手軽な感じがする投資なのですが、落とし穴もあるかと思い、記事にします。
私も小さいながらもデベをやっていますので、なぜデベがこれをやるのかという話ができると思います。
これはそもそもの話ですが、アメリカの土地に価値はどれくらいあるのかということですが、日本とは違い土地が余っているアメリカ、一部の都心を除いて土地の価値は非常に安く見積もられます。
逆を返せば、デベが開発をやりたいという場合、土地を買うのに金融機関からの融資は受けられないということになります。
土地は自己資金で用意し、開発許可の資金くらいまでは自前で用意できないと、その先は進みません。つまり開発許可まで取れれば、土地に価値があると金融機関は判断する場合が多いです。
ですから、デベ側からすると、投資家には土地のお金と開発許可申請の費用を出してくれませんか、という話をする場合が非常に多いです。
ここまでは別に悪い話ではなく、私もこの手の依頼を時々、受けることがあります。
だたここで覚えておいた方がよいのは、この手法にはリスクがあります。
1つ目のリスクは土地は開発許可が下りて、土地の分割が終わるまでは投資家の物にはならないということです。
その間はデベの名義のままで、案件によっては申請に時間がかなりかかる場合もあります。
2つ目のリスクはデベが開発費用の融資を引くために、金融機関が第一抵当権を設定する可能性が非常に高いということです。
開発期間中にトラブルが起これば、土地は差し押さえの対象になり、投資家の権利は保全されにくいのが現状です。
3つめのリスクはタイミングです。
デベというのはいつもマーケットの動向を気にしています。
早く開発を始めて、できるだけ早く売り抜けることが最大のリスクヘッジになるというのが業界の常識です。
と言っても、最低数年くらいから、規模によっては10年くらいかかる開発もあり、開発途中で経済危機が起これば、開発は一気にストップします。
今のタイミングはかなり微妙だと思いますが、どうなんでしょう?
前のリーマンの時もかなりデベがやられていましたから、、、
アメリカの融資はノンリコースなので、仮に融資を引いて、途中で頓挫しても、デベは会社をたたんで、また次に行けばよいくらいに考えている人も多いのではないかと思います。つまり投資家のお金もその程度にしか考えていない人も相当数いるということになります。
私はこの手の話が来るときに判断材料にするのは、以下の点です。
許可申請の状況はどうなっているのか?
図面や土地や湿地の境界、地質の検査等は済んでいるか?
Feesibility Study(事業成功の可能性の調査)の内容。
投資家は会社の株主になれるかどうか(一番おいしいのは土地の収益ではなく、デベの販売利益。株をくれると言ったらかなり良心的)
土地に第一抵当権(Lien)を打てるかどうかの確認。
融資の状況。
他にも確認点はありますが、このくらい確認をすれば、投資すべきかどうかの大まかな判断はできます。
融資金額が非常に多い場合、ほんの数件販売しただけで、投資家にはペイできる開発案件もあるので、案件と参加の仕方次第では面白いのが開発案件です。
ただ権利も担保されずに土地に投資するのでは、一番のリスクを負わされ、成功した場合に一番おいしいところをデベに持って行かれるということになりかねませんので、そのあたりの判断は慎重にしていただきたいと思います。
こういう投資話は、不動産投資ではなく、ただの事業投資だと思っておいた方が無難です。
つまりリスクがあるのであれば、投資家としてどこまでのリターンを取れるのか、それと同時に権利を確保し、リスクを下げる方法を模索できるかどうかがカギになるのではないかと思います。
デベからすれば投資家が金を払えば、事実上リスクフリーで収益を得られるわけですから、おいしい話ですよね。
恐らく紹介者は開発利益をもらえるよう、前もってきちんと交渉しているのではないかと想像します。