また一つ、脅迫ともとれる報道が出ています。
以下のニュースです。
「国税当局が海外に多額の資産を持つ富裕層の税逃れ対策を強化している。昨年から富裕層の調査チームを全国に配置したほか、世界各国の口座情報を自動的に交換して資産を“ガラス張り”にする「CRS」(共通報告基準)に、日本も9月末までに加わる予定だ。タックスヘイブン(租税回避地)での節税実態を暴いたパナマ文書などを機に納税者の不信感が高まっており、国税当局は富裕層の海外資産の監視に本腰を入れる。
■「なんでばれる?」
「なんで海外の預金までばれるんだよ!」
「過少に申告を行うことは許されないことです!」
国税庁が昨年12月にインターネットで配信した動画のワンシーンだ。
海外に資産を隠していた「田楠(たくす)家」の租税回避行為を、富裕層の資産に目を光らせる「重点管理富裕層プロジェクトチーム」(富裕層PT)が解明するというストーリー。架空のドラマだが、国際税務に通じた精鋭集団の富裕層PTは、平成26年に東京、大阪、名古屋の3国税局に実際に設置された組織だ。昨夏からは全国12の国税局・事務所に拡充されている。
元国税調査官の松嶋洋税理士は「CRSが税務調査の武器になることは間違いない」と言い切る。富裕層や法人はタックスヘイブンなどの海外に資産を移し、節税策に精通しているが、CRSの牽制(けんせい)効果で、自主的な申告につながるとの期待も大きい。
高鳥税理士は「大きなターニングポイントになる」としつつも、「CRSで国税当局がどこまで調査してくるのか、様子見の人も少なくない」と指摘する。」
国税庁は海外の口座に資産を移しても捕捉するから、あきらめて富裕層は税金を払いなさい、とでも言いたいのでしょう。
確かに以前に比べれば、国際税務調査の強化とは言えると思いますが、この新しいシステムが稼働していくには、かなりの時間がかかることでしょう。
それはなぜかというと、国税局員は英語が例外なく苦手なのです。私の税理士は元マルサの方ですが、その先生もそのように語っていました。
少し前になりますが、私も海外の取引を関する調査を受けたことがあります。
海外取引や出張などに関する記録やレシート類を数人がかりで調べていた時、ある国税局員が英語の細かな文字でびっしりと書かれている書類を調べ始め、他の局員たちもそれに加わり数人がかりで30分ほど内容を解読しようと苦しんでいました。
あまりにも長い間、格闘しているので私もかわいそうになり、教えてあげたのですが、
それはただのレンタカーのレシートだったのです。レンタカーを借りたときの細かな条項がびっしりと書かれている書類を見て、なにか脱税のヒントがあると思ったのでしょう。
しかも、そんなところに無駄な時間を使っていた彼らは国際取引の担当部署の人たちだったのです。
まあ、本件に関しては、個人的にはしばらくは様子見のスタンスでよいと思いますが、個人口座でお金を持っている人は要注意ですね。あと実態のない法人名義の口座で持っている人も見つかる可能性は高いかと。
ただ合法的にやっている人は、当然心配する必要は全くないのではないかと思います。