先日のパウエル議長の利下げ宣言とも関係がある点を取り上げます。
利下げ+金融緩和というのは富裕層をさらに豊かにする一方で、中流階級からは富を奪うための手段です。
中央銀行がお金をばら撒けば一般人にも恩恵があるのではと考える人も多いのですが、実はメリットは全くありません。
その理由は、カンティロン効果のトリクルダウンと呼ばれるものです。
発行した通貨は最初にもらう人は購買力を生かして有効に使えるものの、一般人のところに来るまでには何年もかかります。
一般人の手元に来る頃には購買力は大幅に落ちていて、インフレで苦しむことになります。つまり一般人にとっていいことは全くありません。
巨額の金融緩和の見通しですが、資金の多くはウォール街に流れることがすでに決まっていますし、あとはベイルアウトにもつぎ込まれるようです。
ちなみにヘッジファンドには一般人が支払う税金も流れていきます。
ところでアメリカでは最近、自宅を持つという「アメリカンドリームは死んだ」とする報道が相次いでいます。
自宅を持つことを諦めた人たちは賃貸をすることになりますが、ここでの疑問は賃貸物件のオーナーは誰なのかという点です。
昨日の報道によると、住宅問題を改善するためにハリス政権は300万件の住宅を供給するとしています。
一般人は自宅を持てなくなる一方で、ヘッジファンドは大量の賃貸不動産を入手することになります。
ヘッジファンドはどれくらいの不動産を取得するのかについて、ある研究によると2030年までに40%を超える賃貸物件を所有することになるとする報告が出ています。
現時点では5%程度が保有率となっています。
多額の負債を負わせた後に市場を崩壊させることで、富の移転を行う計画が今実行されているわけですが、差し押さえ目標数が300万件だといっているようにも聞こえます。
主流メディアでは報道されていませんが、今アメリカでは不動産差し押さえの津波が押し寄せています。
データ各社の数字も捏造されていると思いますが、政府系ローンFHAのデータによると、サブプライムの滞納率は17%を超えています。
2008年のサブプライムローン問題が表面化した時の滞納率は5.6%でしたが、その後に26%にまで急騰しました。
つまり今の段階で17%ということは、崩壊はすでに始まっているということになります。
そして住宅価値がローン残額を下回るアンダーウォーターは99万7000件に到達しています。
アンダーウォーターというのは例えば、ローンの残額が30万ドルあるのに住宅価格は20ドルしかないといったようなケースで、借り手はまじめに払い続けるよりもデフォルトする傾向が強くなります。
不動産価格が下落するにつれ、支払いをやめて立ち去る人が大量に発生するのは必至な状況になりつつあります。
差し押さえを増やすための方策は次々と実行されています。
保険料だけでなく税金も高騰しています。
不動産価格は大幅に下落しているにもかかわらず、表向きは下落していないことになっています。
地方自治体の税収が下落するのを防ぐ目的もあるのでしょうが、実売価格とかけ離れた査定がなされる場合も多くあります。
固定資産税の高騰も不動産市場に圧力をかけるものですが、ここに来て各自治体では固定資産税の増税が相次いでいます。
ツイッターであるエージェントが指摘していましたが、サンフランシスコで84万ドルで売却された物件の資産査定額が153万ドルとなっています。
そして固定資産税は153万ドルの査定を元に請求されることになります。
これとは別の動きもあります。
アメリカ政府洪水保険プログラムが期限切れを迎えます。
470万人が加入しており、保険は住宅ローンの必須条件となっています。
議会で延長が決まらなければ、保険を失った470万人はリファイナンスするしか方法はなくなりますし、売却は非常に困難になります。
都市によって大打撃を受ける可能性がありそうです。
昨日、レノアという名前の大規模デベが在庫を急いで処分するために、4万-5万ドルの値引きを提示しているという話を聞きました。
通常デベが大幅値引きをすると、値引き前に購入した人との間で問題が発生するため隠そうとするのが普通ですが、そうもいっていられないようです。
通貨の崩壊と貴金属の高騰も同時に起これば、短期間の間に一気に富の移転起こることになります。
後から振り返れば、歴史に語り継がれるほどの時期になるはずです。
先日、11月後半に予定しているアメリカの不動産視察の告知をしましたが、現時点では定員を超える問い合わせが来ています。
一度に案内できる人数には限りがあるため、さらに申し込みがあるようでしたら追加の日程を計画したいと考えています。