もうかなり昔の話になりますが、私はイギリスに留学をしていたことがあります。
その時に、ホストファミリーが家の権利をイギリス女王から買い取ったという話をしていました。
その時は不動産のことなど全く知らず、英語も上手ではなかったのですが、その時に初めてイギリスの土地全てはイギリス王室のものであることを知りました。
考えてみれば世界中どこでも状況は似たようなもので、家の所有権は幻想のようなものです。
アメリカの場合、不動産決済が終わると買い手には"Warranty deed"と呼ばれる権利証書が与えられます。
これは不動産譲渡証書とも言うべきもので、所有権は地方自治体に登記されることになります。
当たり前ですが、不動産のオーナーには税金を支払う義務が付いてきます。
固定資産税は、不動産を保有する経費のうち最も大きなもので、賃貸経営をするうえで利回りを左右する大きな要因となります。
不動産を安く入手できれば当然利回りは上がりますが、それでも家賃から固定資産税を支払わなければなりません。
当然ですが固定資産税を滞納すれば、不動産は差し押さえされます。
究極的な意味では不動産を持っているといっても、固定資産税を支払い続けなければならないという事実は不動産を完全に保有していないことを示すものです。
つまりあなたが不動産に対して持っている権利よりも、強い権利を持っている存在がいることになります。
最終的な所有者は地方政府や連邦政府かもしれず、その上位にいるのがイギリス王室なのかもしれません。
いずれにしても代金を支払って不動産のオーナーとなっても、実態としては土地の使用権を条件付きで保有しているにすぎません。
本当の所有権を持っているのであれば、税金を支払う必要はありません。
英語では大家のことをLandlordと呼びますが、これは元々王様が持つ不動産を管理するように委託された人の事を指しています。
とは言え不動産を完全に保有することが可能な場合があります。
その一つの形態は、アロディアルタイトル(完全私用所有権)と呼ばれているものです。
日本語での説明は見つかりませんでしたが、要するに政府や国王の持つ権利を除外し、すべての権利を持つ所有権のことです。
この所有権を持つと固定資産税は発生しなくなると言われており、不動産の最高の保有形態であるとされています。
アメリカでは地方自治体が不動産を差し押さえる時に、アロディアルタイトルを取得すると言われています。
その証拠に差し押さえられた物件に固定資産税は発生しません。
ここでの問題は、個人が不動産を取得する時にアロディアルタイトルを取得できるのかという点です。
弁護士によってはできるという人もいれば、難しいという人もいます。また州によっても不動産法は異なります。
今、これができるという専門家との打ち合わせをしているところです。
私はやったことがないので現時点ではやってみるまでは分からない話ですが、この専門家はかなり経験があるようです。
通貨の崩壊とともに地方政府や連邦政府が崩壊する時に、不動産を購入し同時にアロディアルタイトルを入手できるとすれば、代々受け継ぐべき資産を入手できたことになるはずです。
他にも完全な形態で不動産を保有する方法があるようです。
機会があれば、記事にしたいと思います。