アメリカ不動産情報

モーゲージのストライキが発生。

もうかなり前の話になりますが、私はリーマンショックの後にアメリカで不動産投資を始めました。

そのころは今では信じられないほど安い価格で不動産を手に入れることができました。

良く聞かれた質問は「そんなに安く買えるのなら、なんでみんな買わないのか?」というものでした。

答えはいくつかありました。

安い物件を買うお金すらないという理由と、不動産で大損したため不動産が大嫌いになったという理由がありました。

大量の差し押さえ物件が発生し、差し押さえた金融機関はいくらでもいいから処分してしまいたいという状況でした。

 

今アメリカで不動産を巡り、これまでに何度も繰り返された事態が起こりつつあります。

アメリカには初めて家を買う人向けに設立された政府系の住宅モーゲージ会社が大きく分けて二つあります。

1つはFHA、もう一つはVAと呼ばれています。

最新のデータによると、FHAモーゲージは約4000万件あります。

昨年末の時点で10.81%が支払いを滞納しています。つまり400万件が差し押さえの対象となっています。

VAに関してはデータを公表していませんが、差し押さえ停止期間を来年まで延長することを提案しています。

恐らく滞納率は似たようなものでしょう。

 

FHAは支払いができない人が多数に上るために支払い補助プログラムを実施しており、申請者には支払額を最大25%を減らすプログラムを実施しています。

しかし補助プログラムを実施しているにもかかわらず、約11%の人がローンを支払っていません。これには理由があります。

 

不動産バブルが最高潮であった2020-2021にかけての住宅購入の頭金の平均額は6%でした。

仮に当時に50万ドルで買った家を、今同じ価格の50万ドルで売却できたとしても、売り手は損をします。

決済時には諸費用がかかります。

税金、コミッション、決済手数料、保険などに通常は8-9%程度かかるので、それらを支払うと大損ということになります。

しかし同じ価格で売ることは不可能で価格は大幅に下がっているのと、住宅モーゲージ厳格化により販売数が激減しています。

 

問題はFHAとVAだけではありません。

不動産バブルのピークの時期にどれくらいの人が自宅を購入したのかという点です。

不動産データ企業のブラックナイトによると、2020-2021に貸し出されたモーゲージは全体の40%を上回るとしています。

つまりアメリカで住宅ローンを支払っている人たちの4割以上が、水没状態(アンダーウォーター)ということになります。

アメリカの不動産でアンダーウォーターというのは、ローンの残額が現在の不動産の価値を上回る状態を指します。

ここまで多くの人がハプルの最高値で不動産に手を出したという事実は驚愕です。

 

つまりこういうことです。

すでにアメリカ人で住宅ローンを支払っている人のうち少なくとも40%は損をしている状態にあり、売却するとさらに損失が増えることになります。

この時に起こる現象のことを、アメリカ不動産では"Walk away"(立ち去り)と言います。

ローンの支払いを拒否し、責任を金融機関に押し付けて差し押さえるのを待つわけです。

金融機関はローンのデフォルトで損失を出し、売却する時に決済費用でも損失を出すことになります。

FHAでデフォルト率が急増していることは、人々がストライキを起こしているということになります。

 

こちらの地図は州ごとのクレジットカードの支払い滞納率ですが、これは不動産のデフォルト率と関係があります。

アーカンソー、ミシシッピー、オクラホマ、テキサス、サウスカロライナといった州では大量の差し押さえ物件が市場に放出されることになります。

そしてリーマンショック時と同様、余力のある投資家たちは二束三文で不動産を買い占めることになります。

同時に家賃は大幅に下がると思われるので、ローンを抱えている不動産投資家たちは次第に巻き込まれていくことになります。

100年に一度の大チャンスがいよいよ起こりつつあります。

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