破綻が噂されているNYCB(ニューヨーク コミュニティー バンコープ)を巡り興味深い展開があります。
少し前にソロスが資金注入していたこと報じられていましたが、破綻を止めるための大規模な動きがありました。
昨晩は既に暴落している株式がさらに42%も下落し、取引停止になりました。
破綻を止めるため元米財務長官が率いるヘッジファンドを初めとした複数のヘッジファンドが、合計10億ドルを資金注入を行うことが判明しました。
資金注入を行うのは、元米財務長官ムュニーシン氏が率いるリバティストラテジックキャピタル、ハドソンベイキャピタルとリベレンスキャピタルパートナーが資金注入し、ムニューシン氏が同銀行の役員に就任することが決まっています。
そして元米通貨管理庁の長官オッティング氏も役員に就任することも報道されています。
元財務長官が大物なのはすぐに分かりますが、通貨管理庁長官は全米1400の金融機関の監督、FDICの理事を務め、政府基金の管理も行う非常に重要なポジションです。
NYCBを救うために超大物2人が登場してきたということは、NYCBの重要性を物語るものです。
ムニューシン氏は10億ドルの資金注入で、同銀行は十分な資金を確保できたはずだとしています。
しかしリスクアナリストによると、未払いの不動産融資残高が7800億ドルなのに対し、商業不動産の価値は11億ドルしかないことを指摘しています。
身売りをするための頭金にもならないため、少し前に買収したのフラッグスターの不動産部門と一緒に別の金融機関に買収してもらう案を提示しています。
身売りの可能性については、JPMとウェルズファーゴは不動産融資部門の損失処理を進めている最中で、買収は考えにくいとしています。
もしかしたらすでに打診を断ったのかもしれません。
可能性がありそうなのは、シティグルーブかUSバンコープだということです。
シティは不動産に手を出していないことが理由で、USバンコープはJPMに次ぐ不動産融資の大手だというのが理由です。
とは言え記事を読む限りでは、買収の可能性は低そうです。
別の案としてはNYCBを分社化し、新法人に不良債権を引き取らせた後に破綻させるというものです。
この場合、損失を被るのはFDICとニューヨーク州ということになりそうです。
NYCBの損失だけでなくすでに破綻したシグニチャーバンクの損失処理や他の金融機関が保有する債権の処理まで引き受けることを意味します。
ブルームバーグを始めとする複数のメディアは、すでにニューヨーク州に責任を負わせる内容の報道を繰り返しています。
記事によると、NYCBの問題を悪化させた原因はニューヨーク州が2019年に導入した家賃規制法にあると指摘しており、暗にニューヨーク州が破綻の責任を負うべきだと暗示しています。
既に問題が表面化しつつあるのに、家賃規制を強引に導入した結果として問題が発生したという訳です。
FDICとニューヨーク州が共同で救済に当たり、引き取った不動産を急増する不法移民の住宅として使用すれば良いということのようです。
ここでの問題はニューヨーク州に救済能力があるのか、という点なのかもしれません。
FDICが積極的に介入しないのは、救済能力がないことの証拠です。
延命に次ぐ延命を図る間にも、責任の押し付け合いが行われている様子が見て取れます。
FRBは来週の月曜日に金融機関向け融資プログラムのBTFPを打ち切る発表を事前にしています。
事前に発表したのはこの件を当然知っていたでしょうし、救済するつもりもないわけです。
そして昨日は、FRBと政府が金融不安を防ぐための法律を近々導入することが報じられています。
内容はバンクランが起こっても金融機関が対応できるようにするために、資本比率を上げることや信用創造を規制することが軸となっているようです。
無理難題を突き付けるようなもので、言い換えれば廃業しろということに他なりません。
金融危機が本格化するタイミングで法制化する算段なのかもしれません。
昨日、著名不動産企業のCEOが今後2年間で500以上の金融機関が破綻するか、合併されることになると語ったことが報じられています。
NYCBの動向に注目が集まる中、金融機関をまとめて破綻に追い込む準備が進んでいます。
きっかけとなるのはNYCBなのかもしれません。
大物2人が登場したことは本気で救済するためではなく、金融機関の連鎖倒産を演出するためなのかも知れません。
ムュニーシン氏とオッティング氏は共にトランプ政権のメンバーだったことは注目に値します。
NYCB破綻を利用して更なる大きな計画を実行しようとしているのかもしれません。