いつの時代でもそうですが、最高の投資となるのはお金の教育に対する投資です。
以前にも取り上げたかもしれませんが、ウィンストン チャーチルはこのように述べています。
専門家の意見を聞くのも大切かもしれませんが、ネット上の"専門家"はリーマンショックの時に、投資家ですらなかった人たちが大半です。
我々は"専門家"の話ではなく、チャーチルが述べたように歴史を振り返れば振り返るほど、将来に何が起こるのかを見通せるようになります。
(もちろん専門家の話も参考程度には聞くべきだと思います。)
今、世界の各国がインフレを抑え込むためにやろうとしていること、それは"プライスキャップ"あるいは"プライスコントロール"です。
これは価格規制のことで、値上げを禁じたり一定の価格以上での物品販売を禁じる法規制導入のことです。
利上げをすれば経済が完全に破壊されるために、できるだけの延命を図るために利上げではなくプライスキャップに切り替えるようにという勧めがここ最近、なされるようになりました。
なぜか国連主導で利上げを止めるようにという勧告がなされていますが、肝心のFRBが応じる兆しは今のところは見えていません。
ただ日本を含むヨーロッパ諸国ではプライスキャップが始まるようです。
プライスキャップの歴史は実はかなり古く、西暦301年にさかのぼります。
当時のローマ皇帝ディオクレティアヌスは、通貨の購買力の低下と赤字支出によるインフレを強引に抑え込むために"最高価格令"なるものを発令しました。
そして、これに従わないものは死刑という厳罰に処されました。
古代ローマ都市アフロディシアスでディオクレティアヌス帝の最高価格令が修復公開へ
導入後には儲からないあるいは働いても生活すら稼げないビジネスを継続する代わりに、人々は次々と廃業し、法律で規制されていない職種へと転職する人が相次ぎました。
すると今度は、父親の仕事を息子が継ぐことが法律として強制され、違反した場合には死刑を科すことが制定されました。
これは経済の大混乱と闇市場の出現を促すものとなりました。
ディオクレティアヌスが最高価格令を発令した時、金1ポンドの価格は50000デナリでした。
しかし発掘された取引記録によると、発令から50年後に金1ポンドの価格は、1200億デナリになっていました。
計算すると50年間で42400%のインフレが進行したことになります。
これはどれくらいかというと、過去にアメリカでは金1オンスは$35でしたが、50年後には150万ドルになるのに相当します。
あるいは50年前に車が$2000で買えたとすると、今の価格は850万ドルになるというくらいのハイパーインフレと言えます。
これはプライスキャップ(プライスコントロール)をやればやるほど、結果としてハイパーインフレが加速したという例になります。
強引な介入によりモノの不足が極端になり、結果として価格が大暴騰するという皮肉な結果になったわけです。
これは少し考えれば簡単に分かる話です。
モノの価格というのは市場にある種のシグナルを送り、それを自動的に修復する機能が備わっているからです。
例えば、モノの価格が上がり始めれば利益が出るため生産者はもっと多く生産しようとしたり、他業種からの参入が相次ぎます。
結果として物は過剰に生産され価格は下落に向かいます。
そして価格が下落すると、今度は利益が減るので生産量を減らしたり、今度は他業種に移る人たちが出できたりするといった形となり、結果として需要と供給そして価格のバランスが保たれることになります。
古代ローマの例は放置すれば自ら修正し、機能するはずの市場に素人の政治家たちが介入すると、結果として事態を悪化させるという典型例だったと言えます。
そして今、世界ではこのことを知ってどうかは分かりませんが、同じことが繰り返されようとしているわけです。
政治家たちがプライスキャップをやり始めると、インフレは抑えるかどころか急加速するということです。
そして金と銀は無能な政治家と邪悪な中央銀行から、自らを守る有効な手段になりうるということです。