何も起こっていないように見える貴金属のマーケットですが、水面下ではかなり激しい動きが起こっています。
まずは中国です。
しばらく前に中国は経済危機に対応するために、貴金属価格を引き上げる動きに出ると書きましたが、その通りのことが起こりつつあります。
これは経済危機に対応するという目的がある半面、アメリカに対する経済戦争という目的もありそうです。
これはGTSと呼ばれるBRICS加盟国間で新たに制定される、貴金属取引のシステムのことです。
中国とロシアの主導で、現在の価格操作が激しい先物取引市場であるCOMEXにとって代わる新たなシステムの構築を急いでおり、ここではいわゆる価格操作とデリバティブによって決められる価格ではなく、現物価格が基準とされることになっています。
要するに金価格を上げることにより、人民元とルーブルの価値をたかめようという試みなのでしょう。
肝心のCOMEXですが、ものすごい勢いで現物が消えています。
このままいくと、銀のETFであるSLVに必要な現物の供給ができなくなりそうです。
つまり、現物が足りないのですが、今の価格で足りないという話であり、価格が大幅に上がれば十分足りるはずです。
しかし価格が上がって困るのは、巨大なショートポジションを持つ銀行です。
あと現物不足に拍車をかけつつあるのが、銀の産出国です。
メキシコとペルーは意図的に銀の採掘の規制を強化をしています。海外への流出の規制に乗り出したのかもしれません。
最悪の場合、鉱山の国有化という選択肢も視野に入っているのかもしれません。
要するに、需要はさらに減少するのに、需要は急上昇することを見越した動きだと言えると思います。
私が知る限りファーストマジェスティクとフォーチュナーシルバーは、採掘許可更新の面でトラブルを抱えており、これには政府の方針が関係しているようです。
アルゼンチンは採掘会社に対する増税を検討しているようです。
今のところ、価格には大した変化は見られませんが、銀価格が大暴騰する日は近いのかもしれません。
個人的には、貴金属価格の操作の元凶であるCOMEXは現物の供給ができなくなる時点で、サイバー攻撃とか何かの理由をつけて閉鎖するのではないかと思っています。