昨日も取り上げましたが、イーロンマスクのこのツイートについてです。
エコノミストでヘッジファンドマネージャーのルーク グローマンという方が、ある指摘をしていました。
この意味するところを理解すると、中央銀行がどのように金融緩和により人々から富を奪い続けているのかを理解できるはずです。
世界的に同じ傾向ですが、アメリカでは最低賃金が大幅に下落していることをも示すものとなっています。このように述べています。
いったん理解すると、頭の体操ではなくなります。
a) 1963年にアメリカの最低時給は25セント銀貨5枚でした。(1枚=$1.25)
b) これらの25セント銀貨は現在25ドルの価値があります。(つまり1枚の価格は$5。そしてドルの購買力は95%下落)
c) アメリカのCPIによると、$1.25の銀貨は$10.81の価値しかありません。
d) 差額の$14,19はアメリカのトップ10%の人たちの懐に入ったことになります。(一般人は蚊帳の外)
e) 企業利益を享受する労働者はここ数十年で最低となっています。
f) アメリカの政治機能の不全は深刻で、所得格差は過去100年で最高となっています。
現在、アメリカ政府が定める最低賃金は$7.25です。
25セント銀貨に換算すると現在の価格が$5なので、一時間の労働で1.45枚しか手に入らないことになります。
1963年の時点では最低で5枚は支払われましたが、現在では1.45枚しか手に入らないことを考えると、最低賃金は71%も下落したことになります。
この計算で行くと、時給は大幅に上げなければ1963年の水準に到達することは不可能です。
例えば、時給を$50-$100とかに設定したとすると、モノとサービスの値段は大幅に上がることになります。
しかし経済というのは需要と供給で成り立つものなので、価格を上げると需要が減少します。
つまり買える人が減るので、事業は停滞するようになります。
最近ではカリフォルニアで最低賃金を$20としましたが、そのせいでファーストフードレストランでは1万人を超える人員削減が行われました。
シアトルではUber配達員の生活を助けるために$4.99の手数料を支払うことを義務化したところ、利用率が45%も減少したことが報じられています。
これは金融緩和により、富の移転が起こっていることを示す一つの良い例です。
日本もそうですが、アメリカではいまだに2%のインフレターゲットなるものを目標としています。
非常に優秀なエコノミストたちがインフレ目標を2%と策定しているわけですが、これは毎年2%を目標に人々から富を奪うという宣言でもあります。
しかし2%というのはタダの建前で、コロナ以降は特に「やりすぎてしまった」せいで10-15%くらいになっているわけです。
仮にエコノミストたちが金融緩和のせいで富の移転が起こっていることを良く理解していないとすれば、ただの能力不足ということになります。
反対にもしそのことを良く分かっていてやっているとすれば、能力はあるが邪悪だということになるでしょう。
嘘ばかりと言われているCPIですら、インフレ率は9%となっていて、毎年毎年9%ずつ貯金や給与から奪っているわけです。
しかし実際には9%は"調整後"の数字であり、実際にははるかに上回っていることになります。
残念ながら、この方法での富の移転は一般人の目には見えにくいものなのです。
中央銀行は窃盗を繰り返すピザ屋のようなもので、この動画のようにピザを切ることで分かりにくい仕方で窃盗を繰り返しているわけです。
今ヨーロッパで進行していることを見ると、毎年少しずつ奪っていき最後には強引にすべての資産強奪に動く計画のようです。
生活がどんどんと苦しくなっているのは中央銀行のせいなのに、MMT理論をいまだに信じているようではお先真っ暗ということにもなります。
個人的には金銀本位制に戻した上で、最低時給は廃止することが問題の解決につながると思います。