アメリカの債務の件です。
トランプ大統領は民主党が債務削減に応じないのであれば、アメリカ政府のデフォルトを引き起こすことを共和党に勧めていたことが報じられています。
昨日にマッカーシー議長との二回目の会談を行うはずでしたが、延期となりました。
政治の裏側は分かりませんが、普通で考えれば債務問題で真剣に交渉すべき時に話し合いを行わず、代わりにバイデン一家の不正を公表するということは、決裂することが決まっているようなものだと考えられても不思議ではありません。
こうした状況を受けてかイエレン財務長官も表現を少しずつ変化させ、昨日の報道では"それなりの期間のデフォルト"(Meaningful period of time)は経済にとって非常に悪影響となると語りました。
一定期間のデフォルトは仕方ないと暗に示していることです。そして"何か"をデフォルトさせることになる可能性も指摘しています。
彼女が隠していることは、世界経済は米国債を屋台骨としており、たった一日のデフォルトであったとしてもシステムの大崩壊を起こしてしまうということです。
レポ金利は急騰し、すでに脆弱な金融機関を次々となぎ倒す結果となります。
ここにきて、延命するための奇策が浮上しています。
これまでは1兆ドルのプラチナムコイン案が何度も浮上しては消えていきましたが、今回は少し違う案のようです。
アメリカには大恐慌の最中の1934年に制定された金準備法というものがあり、米財務省の金を管理することになっています。
同時にこの法律は当時のアメリカ人に金の保有を禁じた法律でもあります。
現在でも一部がそのまま残っているようですが、それによると米財務省の金証券の額面は$42.22と定められていて、財務省は8000トンの金を保有しています。(表向きです)
これを変更して実売価格である$2042に変更するという案です。
ここで出た差額を米財務省は証券としてFRBに差し出せば、議会を通さずに5500億ドルあまりの資金が捻出できるというわけです。
(これはすでに消えているとのうわさが絶えないフォートノックスの金がまだあればの話ですが、、)
1934年と1953年に同じことが行われた過去があるので、現実的に起こりそうなことです。
今回は価格操作を強制的にやめさせるというおまけもついてきそうです。ただこれは一時しのぎに過ぎません。
Rickards: "Weird Gold Trick" Could End Debt-Ceiling Showdown
当然、金と銀の価格に大きな影響を与えます。
あと昔とは異なり今は巨額のデリバティブが存在するので、金融の大問題が発生することになります。
そして金が突然政府にとって重要な存在になりますので、1934年と同様禁止した上で没収することを試みる可能性があります。
政府職員が一軒一軒家を回って回収するという可能性は低いですが、大量に保管してある場所、例えばETFや鋳造所といったようなところは狙われることになります。
最近ではロシアが海外に保有していたETFが没収されましたが、同じことが起こると思います。
仮にこの奇策が行われたとしても、最終的な結果は変わりません。
ただ一時的にアメリカ政府のデフォルトは先延ばしされるだけで、今度は違う問題が発生することになります。